離島と都会を行き来する診療看護師のブログ

primary care NPとして離島での道を開拓する

点滴▶経口抗菌薬へ切り替え時の注意点

一般的に、点滴から経口抗菌薬の使用を促すことで、コスト削減や入院期間の短縮をさせることができるといわれている。

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しかし、病原微生物と対象臓器を対象に考えれば良かった点滴抗菌薬から、経口抗菌薬へ切り替える際には、もう1つ大きなチェックポイントとして、

【バイオアベイラビリティ

を考えなければならない。

 

バイオアベイラビリティ【BioAvailability】BA

投与された薬物(製剤)が、どれだけ全身循環血中に到達し作用するかの指標。

生物学的利用率と生物学的利用速度で表される。

 

静脈内投与では、投与された薬物はほぼ100%生体で利用されるが、経口投与など他の経路で投与された薬物は、消化管からの吸収効率、肝臓・消化管での代謝(初回通過効果)の影響を受けるため、循環血液中にすべてが到達するわけではない。

 

そのため、それぞれのバイオアベイラビリティをしっかり把握しておく必要がある。

 

サンフォードを参考に代表的な薬剤の一覧

ペニシリン系 サワシリン 80%

        オーグメンチン 80/30-98%

 

セフェム系 ケフレックス 90%

       ケフラール 93%

       セフゾン 25%

       メイアクト 16%

 

キノロン系 シプロキサン 70%

       クラビット 99%

 

マクロライド系 ジスロマック 37% 

         ダラシン 90%

 

●その他 ザイボックス 100%

     バクタ 80%

 

これを見たら分かるように、8割が合格ラインとすると完璧なものもあるし、赤点のものもある。経口第3世代セフェムは赤点の代表格といえる。

AIGOを習い、我々は赤点の経口抗菌薬を『DU薬』という。

 

なぜDUかは検索していただくとおわかりいただけるだろう。

 

BAを意識し、DU薬を使用しないように心がけたい。

 

 

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奄美・沖縄 が世界自然遺産への登録へ

奄美大島・徳之島・沖縄島北部・西表島において、【アマミノクロウサギ】や【イリオモテヤマネコ】など固有種や希少種が多くの種が生息していることから、世界自然遺産への登録が妥当とのこと。7月から開催される世界遺産委員会で決定される。

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2018年に登録延期を受け、二度目の挑戦だったと。

 

正式決定されれば、知床(北海道)・白神山地(青森秋田)・小笠原諸島(東京)・屋久島(鹿児島)に続き、5ヶ所目の登録となる。

 

そもそも、世界遺産に登録されることでの影響はどんなものだろうか。

白川郷を参考にすると、

世界遺産に登録されるという誇り

・保護、保存、継承させていくための動機付け

・国や世界からの擁護が得られる(補助金はない)

・観光客による経済効果

 

ん~。気持ちと観光といったところ。

あまり劇的になにかかわるとは思いにくい。

観光客が増えれば観光地として少しはお店もオシャレになるかも

 

デメリット

・観光客による環境公害

・観光業に仕事を奪われ本来の風景が失われる

 

例えば、島にスターバックスマクドナルドが入ることで、新たな雇用が生まれる

島になかったコーヒーカップのゴミや紙袋のポイ捨てで海が荒れる

新雇用のためじゃがいもやサトウキビの収穫の人手が足りなくなる

 

こんなストーリーだろうか?

少なからずこれらが入れば観光客もだが島内での消費も促される

若い人たちの島離れも少し抑制されそう

 

本来の目的としては、世界自然遺産となることで島の現状を維持、保存し、希少動物の保護をより一層力を入れていきましょうということかもしれないが、

個人的には、観光地化が進みチェーン店の出店が進んで欲しい。

 

病院にカフェできないかなぁ。。

 

 

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尿路感染症の落とし穴 尿Gram染色の重要性

今回は尿路感染症にfocusを当ててみる

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肺炎と並んでよくよく出会うcommon中のcommon disease

その分パターン化しがちだが、落とし穴に落ちることがあるので注意

 

尿路感染症ポイント

多くはsexual activityのある女性の単純性膀胱炎

そして膀胱炎では発熱は認めない

発熱があれば、尿路感染症腎盂腎炎、急性前立腺炎、精巣上体炎)の合併を考慮

難治性の膀胱炎や男性の膀胱炎は、複雑性尿路感染症を疑い精査

 

一般的に、患者さんから排尿時痛や残尿感の訴えがあったり、膀胱留置カテーテルを留置中の患者さんの尿からの異臭や混濁などで、尿路感染症を疑うきっかけになることが多いだろう。

 

尿路感染症を疑ったときには、

『患者背景』

『経過』

『尿Gram染色』

この3本を必ず確認したい

 

まず、患者背景

高齢者の発熱 や 若年女性の発熱 で尿路感染症を疑う

 

腎盂腎炎 ・急性経過の発熱

      ・側腹部痛

      ・CVA叩打痛 の確認

 

#急性前立腺炎 ・急性経過の発熱

        ・下部尿路症状(頻尿や排尿障害等)

前立腺の圧痛【63%】 1/3は圧痛無しに注意

ハイリスク患者

 ○前立腺肥大症○前立腺癌の既往○性感染症既往

 ○免疫不全○泌尿器科処置等

CQ:PSAを用いるかどうか

PSA≧4ng/mLは感度69%、特異度96%で前立腺炎を示唆

所見で判断がつかず疑うと菌は用いても良いかも

 

■検査

血液検査、尿検査、尿Gram染色、尿培養、血液培養

カテ留置中、悪性腫瘍、尿感染症治療中では、尿培養陰性且つ血液培養陽性となるリスクが上昇する点に注意(通常は5%程)

尿Gram染色は抗菌薬の効果判定にも有効!

※プラス循環不全徴候を認める場合は、敗血症に準じる必要あり

 補液負荷、1時間以内の抗菌薬投与

腹部エコーやCT検査で欠席性腎盂腎炎や腎膿瘍など複雑性要素の評価も忘れず

 

他画像検査

水腎症や腎形態評価→ERエコー

重大な尿路以上のリスク因子

○腎結石症の既往○尿pH≧7.0○eGFR≦40ml/min

1つでも認めれば、感度93-100%,特異度59-62%で緊急処置が必要

→CT

 

■治療

基本的に、腸内細菌属(E coliやKlebsiella)をカバー

first chiceとして、CTRX(セフトリアキソン)1g1dayが有名

 

ここで落とし穴

腸球菌はセフェム無効

 セフェム無効(Enterococcus(GPC)・嫌気性菌)

 →尿Gram染色でGPC貪食像がみえるかみえないか

 →見えればABPC/SBT or ABPC

 

ESBL産生腸内細菌はCTRX無効

 →CMZ,TAZ/PIPC,MEPM

※ESBL産生E coliによるUro sepsisに対して、ホスホマイシンとメロペネムのRCT進行中

 

急性前立腺炎では、淋菌などのカバーも

 →DOXY(ビブラマイシン)

 

●●尿Gram染色を基準に●● 貪食像がなければ無症候性細菌尿

中型~大型のGNR→E coli や Klebsiella

 →CTRX or CMZで開始 (ESBLにはCMZ)

小型GNR→緑膿菌 

 →CAZ or CFPM or AZM

短鎖(2-3連鎖)の大きめGPC

 →腸球菌(Enterococcus spp.)を考慮しペニシリン

 

必ずGram染色でfollowを行い、効果が乏しい場合はescalationを考慮する

過去の尿倍の結果を参考にもできる

今回の培養結果と4-8週間前の培養結果の一致率57%

32週以前の一致率49% と大体半分は同じらしい

 

■効果判定

尿路感染症に特異的なパラメータとして、

【局所】

尿路症状(排尿時痛、頻尿、尿閉

CVA叩打痛 骨盤痛 尿Gram染色所見 尿検査

 

【全身】

倦怠感

 

最も早期に反応を示すのは、Gram染色

抗菌薬投与後数時間~編に稚児には尿中細菌の変性・減少あり

他は72時間程度で改善し始めることが多い

 

上級者は敢えて狭いスペクトラムで開始し数時間後に尿Gram染色で継続・変更を判断している

 

■抗生剤投与期間

経過良好であれば、

腎盂腎炎は7-10日間

急性前立腺炎は軽症例2週間-重症例4週間 程度

 

 

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意外と重要臓器 脾臓の機能

なくても生きていける臓器に代表される脾臓

一昔前までは、胃の手術の際に脾臓も摘出することがあり、脾臓がないヒトが健康に生活している。

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しかし、脾臓がないと困ることも。

 

脾臓の機能のおさらい 

  • phagocytic filter(老化しダメージを受けた細胞、血液中の細菌などを除去)
  • 抗体を産生する(脾臓摘出→液性免疫不全)

 

脾臓は、最大のリンパ組織で、莢膜を持つ細菌のオプソニン化に必要なIgMを産生する主要な臓器。オプソニン化された細菌は、脾臓または肝臓でマクロファージによって、効果的に除去される。一方、オプソニン化されにくい莢膜を持つ細菌(S. pneumoniae, Hib, Neisseria meningitidis)は、脾臓でのみ除去される。肺炎球菌などの莢膜を持つ細菌の除去には、脾臓によって産生され、直接または補体結合を介して、貪食を促進するIgMが必要である。

 

要するに、免疫に深く関わっている

 

よって摘出後や生まれつき低形成、脾腫を起こす疾患などで脾機能が低下すると

主に肺炎球菌による劇症型感染症のリスクに注意が必要だ

 

肺炎球菌Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenza type b、Neisseria meningitidisなどの莢膜を持った細菌によって、劇症型感染症が起こるといわれている。他にも、イヌ咬傷やひっかき傷などによるCapnocytophaga canimorsusでも劇症型感染症が起こるとのこと。

 

どうすればいいか?

障害続く致死的な重症感染症のリスクとつきあうためには、

★ワクチン接種の重要性

★早期受診

★熱帯地方への旅行時は医師に相談

★ペット、動物注意

 

■脾摘後の患者は、肺炎球菌ワクチン!

【ニューモバックス】だけでなく【プレベナー】も

必ず接種しているか確認し、してなければしてもらう

 

どこかの市長さんよりも先にCOVID-19ワクチンを優先提供を。

 

 

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【雷鳴頭痛】 症例報告 診断から問診へ

73歳男性

診断  #小脳梗塞

 

MRI DWI右小脳~後頭葉 高信号

   ADC map 同部位 低信号

   左目半盲

   Barre徴候/Mingazzini左 陽性

   触覚・温痛覚は体幹顔面ともに異常無し

 

胸部Xp n.p.

    撮影前に10秒程度右上下肢強直間代発作

    指鼻指試験 陽性

    踵-膝試験  陽性

 

頭部CT bleeding- abscess-

 

ECG af ryhthm 

 

L/d n.p.

 

頭痛に対し

アセトアミノフェン1000mg→無効

酸素7L→無効

眼圧error→点眼

アタラックスP+プリンペラン→無効 

 

TVを見ていた時に数分でピークに達する人生最悪の頭痛

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右前額部に拍動性の頭痛 増悪寛解因子なし

項部硬直 陽性  視野障害 陰性

眼球硬さ 正常  視力   低下無し

外傷歴  無し  かみ合わせ痛 陰性

複視   無し  指鼻指試験 陰性

踵-膝試験 陰性

 

喫煙歴 10本/日 50年 飲酒歴 焼酎1合/日

 

既往歴

緑内障 失明

 

現病歴

○:○○ 飲酒中TVを見ていた時に突然頭痛を認めた

Bp195/117mmHg HR96bpm BT36.0℃ SpO2 99%(RA)

RR16bpm

DDX

#SAH #髄膜炎 #緑内障発作 #椎骨脳底動脈解離 #側頭動脈炎

#RCVS #脳炎 #下垂体卒中 #静脈洞血栓症

 

 

診断から遡った形で記載してみた

脳梗塞らしくない病歴だったのではないか

診断から遡るとなんでもないが、症候から進めていくと難しい

この症例のように診察途中で途中で症状が変化することがある

 ※脳梗塞サイン陰性→陽性

 

診察時に症状が変化する時に考えること

  1. 病態の変化
  2. 所見の取り方が下手
  3. 患者が嘘をついているか意識障害

 

この症例で学んだこと

脳梗塞(2.8%)で雷鳴頭痛を引き起こす(後方循環に多いらしい)

雷鳴頭痛=1分以内にピークに達する突然発症の重度頭痛

雷鳴頭痛2第要因 SAHとRCVS

頭痛発症6時間以内のCTで出血無ければSAH否定(感度100%)

※CT読影になれた医師(放射線科医or読影慣れした医師)

脳梗塞の1%で脳底動脈塞栓

※塞栓性だと突然の意識障害片麻痺or四肢麻痺の原因

 

 

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感染症診療 耐性菌対策!発熱・CRP・WBCからの脱却!

ヒトは長きにわたり病原微生物と生死をかけた追いかけっこをしている

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レジデントのための感染症診療マニュアル 第4版

菌:GNR(グラム陰性桿菌)

人:→抗菌薬

菌:→ESBL獲得(抗生剤の耐性化)進化

人:→カルバペネム(より強い抗菌薬)

菌:→CRE(カルバペネム耐性腸内細菌科細菌)進化

人:・・・

 

ヒトは2008年移行、新規抗菌薬を作成できていない

この時点で一歩ヒトは菌に遅れをとっている

 

減り続ける新規抗菌薬

このままだと、2050年には耐性菌による死者は年間1000万人も及ぶと試算されている!

 

ただ、耐性菌は可逆的

過剰な抗菌薬を減らすと耐性菌は確実に減少することがわかっている

ヒトが生き残るためにも、抗菌薬の適切な使用を心がけるしかない

 

隣の病院や同じ地域の病院でしている医療で自分の所へ影響が出ることはあまりないが、感染症治療において不適切な抗菌薬使用をしていると自分の病院へも大きな影響が出るように、日本全体、世界全体で協働して抗生剤を使用しなければならない。

 

抗生剤の適正使用において、『いつ使うか』『いつまで使うか』が争点となる。

 

  • 熱があるから
  • CRPWBCが上昇したから
  • 下痢嘔吐があるから

 

これらがあると、抗生剤を使用しようと思う医療者は多いのではないか?

だが、これらだけでは抗生剤の使用動悸とはならない。

 

抗生剤診療の4つの軸

  1. 感染/解剖
  2. 原因微生物(非感染性?)
  3. 感染症治療薬
  4. 感染症の趨勢・治療効果判定

 

これに基づいて考えると整理しやすい

少なくとも感染症治療薬の選択には、『感染/解剖』『原因微生物』が説明ができなければならない

 

多くの感染症は必ずどこかに感染源が局在する

遅くとも数日以内に局在化するため

身体所見(Review of system)や画像所見、培養検査などで探しに行くことが大事

 

一部局在しないタイプでは、不明熱(発熱疾患にもかかわらず熱源が分からない)となるが、上記の手順を踏んで初めて、【熱源がわからないこと】に気づく

数日たっても熱源が分からないことは異常で、探して初めて探せなかったことが分かる

 

局在型か非局在型か認識することが重要★

 

また、CRPWBCにおいて、使用できる場合も稀にあるが

基本的には、CRPWBCの数値の変動が治療に影響を及ぼすことはない

 

どういうことかというと、

■重症度判定に使用できない

(肺炎の重症度Ⅰ~Ⅳ度においてWBC中央値は同じ)

CRP感染症だけが反応するわけではなく、CRPに振り回される

■発熱も重症度には使用できず解熱は免疫応答ができない最重症のサインの可能性

などなど

 

では何を指標にするのか?

最重点は、vital sign

なかでも『呼吸回数

全担当患者の呼吸数を把握している医師、NPは大きな間違いはしないと言われている

それくらい呼吸数は『異常の早期発見』のきっかけになる

 

qSOFAもSIRSもvital signを元に作成されており、vital sign名人になることが重要

 

他全身状態をみるバロメータ

食事摂取量 見た目(目力~人格・意識レベル) 

消化器症状(感染症全体のアラートに使用。特に腸管外から考える)

過換気と呼吸性アルカローシス

皮疹など皮膚の変化

 

感染症診療がしっかりしている病院に就職したければ、呼吸回数を記録している施設を選ぼう

 

感染症診療 青木先生のお言葉です。

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どっちがどっちか忘れる ASTとALTの違い

超メジャーな血液検査である、【AST】と【ALT】

上昇していたら肝機能が傷害されているなぁと考えることはもはや常識。

ただ、この2つの違いを説明できるだろうか?

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AST と ALT の大きな違い

これをはっきりさせておくと思考の幅が広がる。

 

AST、ALT、合わせて『トランスアミナーゼ(transaminase)』という。

直訳すると、アミノ基転移酵素

アミノ基転移酵素は、人体の重要な構成要素であるアミノ酸を作る働きをしている。

肝細胞障害時に血液検査で上昇する理由は、このトランスアミナーゼが肝細胞に多く存在しているから。

そのため、肝機能検査と呼ばれ、肝臓のイメージが強く根付いている。

 

ただし、厳密に言うと、肝細胞の傷害の有無を推定する検査。

もっというと、肝臓以外にもこれら酵素は存在する。

 

AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ):基準値 11~33 U/L

=GOT。

ASTは肝細胞内の他、筋細胞内や赤血球内にも存在している。

AST上昇を みたら肝疾患のみでなく、心筋梗塞や筋疾患、溶血性疾患を鑑別する。

心筋>肝臓>骨格筋>腎臓の順に多く含まれる

 

 ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ):基準値 6~43 U/L

=GPT。

肝細胞障害に対する特異性はASTよりも高く、肝細胞中ではASTの方がALTよりも多く存在するため、通常はAST>ALTで、ASTとALTが共に正常範囲内となる。

よって、ASTとALT が正常であっても、AST<ALTの場合では、慢性肝炎や脂肪肝の可能性を考える必要がある。

肝臓>>心筋>骨格筋の順に多く含まれている

 

また、ASTとALTの半減期の違いから、急性疾患か慢性疾患かの鑑別も可能で、

AST=約 5~20 時間

ALT=約 40~50 時間 これを利用する

肝炎で来院した際に、

AST優位→急性期 ALT優位→慢性期

と推定できる。

 

☆注意☆

肝由来疾患のうち、アルコール性肝障害は、AST優位となる!

 

 

まとめ

AST、ALT上昇を確認したとき、

AST>ALT 肝以外の疾患の可能性 心不全

        酒飲みチェック

AST<ALT 肝疾患の可能性 肝生検有効かも

 

肝臓を見るには、ALTに重点を☆

 

 

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COPD治療の落とし穴 抗コリン薬の副作用に注意

COPD治療に使用されるkey drugの代表格といえば、LAMA(Long Acting Muscarinic Antagonist(長時間作用型抗コリン薬))

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COPD治療には、重症度分類において、LAMA+LABAやICS+LABA+LAMA等が使用される。

 

重症度分類A群では、症状に応じて、SABA,SAMA、LABA,LAMAの単剤が用いられる。

 

重症度分類B群では、LAMAかLABAの定期吸入

 効果不十分時は併用

 症状が強い場合も最初から併用

 

重症度分類C群では、LAMAを優先的に使用

 (LABAよりもLAMAの方が急性増悪予防効果が良好)

 急性増悪の抑制が不十分な場合は、LABA+LAMA、ICS+LABAの併用

 

重症度分類D群は、ICS+LABAよえいもLAMA+LABAの併用から

 LAMA+LABAで急性増悪の抑制が不十分な場合、ICS+LAMA+LABAへの変更を試す

 

ICS+LAMA+LABAで安定していれば、ICSの減量、中止を考慮

 

これが一般的治療

 

これ見ても分かるように、まずはLAMAの出番が多い。

しかし、LAMAが使用できない場合がある。

 

それは、いわゆる抗コリン作用により他の疾患が増悪する可能性がある患者

 

【抗コリン薬】

副交感神経終末から分泌される伝達物質アセチルコリンが、ムスカリン受容体に結合した後、血漿コリンエステラーゼにより分解される。ムスカリン受容体には3種類のサブタイプがあり、M1受容体(胃や脳)、M2受容体(心臓)、M3受容体(平滑筋や腺)に存在している。抗コリン薬はムスカリン受容体を遮断して作用を示す。

 

そのことで、口渇、便秘、尿閉、せん妄、排尿障害(尿閉)、視力障害(眼圧上昇、散瞳、緑内障等)、麻痺性イレウス(腸閉塞)、心悸亢進(頻脈)等がある。

 

よって、

#閉塞隅角緑内障

#下部尿路閉塞等(前立腺肥大など)

#重症筋無力症

の患者には禁忌となっている。

 

そのため、これらの患者がheavy smokerであった場合には注意が必要。

 

COPD患者さんで、呼吸苦の増悪で来院。

→LAMA未導入の場合、導入を検討したい

 

その際に、

緑内障の問診(視野異常や近親者の家族歴等)

前立腺肥大症の問診(排尿困難、頻尿等)

を少なくとも確認したい。

 

また、これらの問診が問題なくても、開始後に視症状や尿閉などの症状を生じる可能性があり、開始後にも要注意となる。

 

COPD症例にICS(ステロイド)使用した場合の注意点として、肺炎の高率合併問題があるのにも注意!

 

 

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LAMA