あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
今回は、PICCのテクニックをご紹介します。
おそらく特定行為研修やNPコースのPICC練習の穿刺は、CVのように短軸法が主流ではないだろうか。
前回のNP学会では、短軸と長軸が一体となったエコーの紹介もされていたが、従来のエコープローブを90度持ち替える(長軸)だけで、こうも簡単に血管穿刺ができるものかと思えるほど手技のレベルが容易になる。
実際、当院では短軸法でやたら穿刺時間がかかり、挙げ句の果て失敗して終了することもあったPICC手技だが、特定行為研修生や研修医等の初心者でも、長軸法にすることで、成功率、手技時間の短縮が飛躍的に改善した。
短軸法・・・
血管に対して90度にプローブを当て、輪切りの状態で血管穿刺
長軸法・・・
血管に対して平行にプローブを当てて穿刺
短軸法のメリット・デメリット
○他血管との位置関係が一目瞭然(動脈や神経を1画面に収められる)
○うまくやれば針先を追いかけ血管までアプローチできる
×針が見えにくく、不慣れな手技者にとって難易度が高い
×的が小さくCVの数倍難易度が高い
長軸法のメリット・デメリット
○針の走行を固定したエコー画面で追えるので、血管までの距離や先端を追いやすい
○血管を貫通することがほぼない
×動脈や神経との位置関係が画面で確認できない
×長い針じゃないと届かない
長軸穿刺中の画面はこちら



僕もこれまでは短軸で何回も難渋していた。
ところが、当院ですばらしきPICC指導医との出会いで状況は一変した。
長軸ガイド付きのプローブで数を熟していくことで、手技時間が圧倒的に短縮
かれこれ1時間程度かかることもあった全手技時間が、平均5~10分に。
当院では透視下でやることが大半だが、透視室入室から退室まで15分という自立達成時間もクリアすることができた。
長軸ガイド無しでの練習を行うことで、点滴留置確保困難症例にも、PCPS装着中の橈骨動脈ライン確保症例にも、また穿刺ガイドがない離島でもスムーズに留置することが可能となった。
最後に最近導入した、TeleflexのJAPAN PICCが使いやすかったので、挿入手技をご紹介。
まず、PICC本体にスタイレット代わりのワイヤーを挿入し、
先端を少しだけ出す ※メーカー推奨
(個人的には先端-1cm程度にし先端を出さないのが好き)


血管穿刺
ダイレーター挿入用の短いガイドワイヤーを挿入
穿刺針を抜き、刺入部を数mm皮切しダイレーション


ここがPower PICCとの違い
ダイレーターのみ留置し、ワイヤー毎全て抜去


ダイレーターにPICC本体を挿入


ダイレーターをピールアウトし目的位置まで挿入


スタイレット代わりのワイヤーを抜去


逆血確認し固定


終了
このあとは同封のスタットロックで非縫合固定
手技に示したとおり、Power PICCとの違いが、1カ所
power PICCでは、ダイレーション後ガイドワイヤーのおしりからPower PICC本体を通す手技が必要で、助手がいればまだしも1人で挿入する際には、片手でダイレーターからの出血を抑えつつ、片手でワイヤーを通すという至難の業が求められる。
JAPAN PICCには、ダイレーション用の短いガイドワイヤーとスタイレット代わりの長いガイドワイヤーの2本が用意されており、ワイヤーの入れ替え操作が省くことが可能。
PICCはガイドワイヤーが長いので、とても扱いにくく、同時に不潔になりやすい。
その操作が一つ省けるだけでも、結構ありがたい。
Power PICC同様造影剤注入可能な特殊型(償還区分)で、ダブルルーメンはどちらも5Fr。
おまけに本体価格は、ガイドワイヤーが1本多いのにJAPAN PICCの方が安い。
そのためpower PICCでははみ出ていた償還価格内に収まる。
Wonderful!