誰でもできる!初心者向けPICC挿入テクニック 長軸法
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
今回は、PICCのテクニックをご紹介します。
おそらく特定行為研修やNPコースのPICC練習の穿刺は、CVのように短軸法が主流ではないだろうか。
前回のNP学会では、短軸と長軸が一体となったエコーの紹介もされていたが、従来のエコープローブを90度持ち替える(長軸)だけで、こうも簡単に血管穿刺ができるものかと思えるほど手技のレベルが容易になる。
実際、当院では短軸法でやたら穿刺時間がかかり、挙げ句の果て失敗して終了することもあったPICC手技だが、特定行為研修生や研修医等の初心者でも、長軸法にすることで、成功率、手技時間が飛躍的に改善した。
短軸法・・・
血管に対して90度にプローブを当て、輪切りの状態で血管穿刺
長軸法・・・
血管に対して平行にプローブを当てて穿刺
短軸法のメリット・デメリット
○他血管との位置関係が一目瞭然(動脈や神経を1画面に収められる)
○うまくやれば針先を追いかけ血管までアプローチできる
×針が見えにくく、不慣れな手技者にとって難易度が高い
×的が小さくCVの数倍難易度が高い
長軸法のメリット・デメリット
○針の走行を固定したエコー画面で追えるので、血管までの距離や先端を追いやすい
○血管を貫通することがほぼない
×動脈や神経との位置関係が画面で確認できない
×長い針じゃないと届かない
長軸穿刺中の画面はこちら



僕もこれまでは短軸で何回も難渋していた。
ところが、当院ですばらしきPICC指導医との出会いで状況は一変した。
長軸ガイド付きのプローブで数を熟していくことで、手技時間が圧倒的に短縮
かれこれ1時間程度かかることもあった全手技時間が、平均5~10分に。
当院では透視下でやることが大半だが、透視室入室から退室まで15分という自立達成時間もクリアすることができた。
長軸ガイド無しでの練習を行うことで、点滴留置確保困難症例にも、PCPS装着中の橈骨動脈ライン確保症例にも、また穿刺ガイドがない離島でもスムーズに留置することが可能となった。
最後に最近導入した、TeleflexのJAPAN PICCが使いやすかったので、挿入手技をご紹介。
まず、PICC本体にスタイレット代わりのワイヤーを挿入し、
先端を少しだけ出す ※メーカー推奨
(個人的には先端-1cm程度にし先端を出さないのが好き)


血管穿刺
ダイレーター挿入用の短いガイドワイヤーを挿入
穿刺針を抜き、刺入部を数mm皮切しダイレーション


ここがその他のPICCとの違い
ダイレーターのみ留置し、ワイヤー毎全て抜去
Modified seldinger technique!!
Over the wireではないのがかなり助かる


ダイレーターにPICC本体を挿入


ダイレーターをピールアウトし目的位置まで挿入


スタイレット代わりのワイヤーを抜去


逆血確認し固定


終了
このあとは同封のスタットロックで非縫合固定
手技に示したとおり、他PICCとの違いが、1カ所
power PICCでは、ダイレーション後ガイドワイヤーのおしりからPICC本体を通す手技が必要で、助手がいればまだしも1人で挿入する際には、片手でダイレーターからの出血を抑えつつ、片手でワイヤーを通すという至難の業が求められる。
JAPAN PICCには、ダイレーション用の短いガイドワイヤーとスタイレット代わりの長いガイドワイヤーの2本が用意されており、MSTにてワイヤーの入れ替え操作を省くことが可能。
PICCはガイドワイヤーが長いので、とても扱いにくく、同時に不潔になりやすい。
その操作が一つ省けるだけでも、結構ありがたい。
Power PICC同様造影剤注入可能な特殊型(償還区分)で、ダブルルーメンはどちらも5Fr。
おまけに本体価格は、ガイドワイヤーが1本多いのにJAPAN PICCの方が安い。
そのためpower PICCでははみ出ていた償還価格内に収まる。
Wonderful!
普段とはひと味違った離島応援
週末NP学会に参加したあと、月曜日本院で仕事し前泊で離島応援へ
大阪でもちゃんと仕事はしてます
その日は、朝から急性虫垂炎緊急オペ助手・腹部正中離開創のNPWT交換・病棟指示の変更等々主治医不在時の対応・PD術後ドレーンの入れ替えのお手伝い・・
朝一飛行機しか空席がなく、必然的に空港ホテル前泊に
空港ホテル行きのバス最終19:30
なんとか間に合うように病院をあとにしたが、乗り損ねた電車の人身事故で以降の電車が止まってもた
運転が不慣れな妻にバス停まで送り届けてもらい、ギリギリバス乗車
ホテル前泊し、7:05発の飛行機へ
10:30離島病院に到着し、本院の指導医と合流し外科回診
大腸手術後の術後合併症で週末再手術後の患者を引き継ぎ指導医さよなら
本来なら月~金まで本院から外科医が1人待機し、虫垂炎や胆嚢炎、消化管穿孔等急性腹症に対する手術や外科術後外来診察要員として待機するようにしているが、今週は予定変更があり、
月-火 外科医A
火-木 NP
木-金 外科医B
というつぎはぎ応援
NPしかいないというのは初めて
でも大丈夫
本院から離島カルテをみれるから^^
なんかあったらホンダジェットで飛んできてくれるから^^
肝胆道系酵素が上昇していても、40度発熱していても、一言相談したら本院の外科医2,3人から外来の合間やオペの合間に見てくれて色んな遠隔指示が飛んでくる。
CTの読影に自信がなかったり、輸液や抗菌薬の変更でも、みんないつでも気軽に相談できる。本当にありがたい。
血液検査追加して造影CT切って創部診察して、、
輸液変更して抗菌薬変更してPPIやめてドレーン処置して、、
一応不在時対応してもらう用の離島研修医も担当医にしているが、外科医からしたら普段から一緒であーだこーだ言えるNP君の方がわかってるやろうし頼みやすい^^
・・・て思われてることだろう笑
病棟Nsも研修医よりはNPさんの方が安心よね^^
・・・て言われてて笑
とにかく、膿が出てるCVCは抜去したし、皮下ドレーンは洗浄したし、必要な採血はしたし、肝臓に優しいことしたし、快方に向かってくれてるだろう。。
一段落して隣を見ると、
昨日時間外できた糞便性腸閉塞のBacterial Translocationによるショックのおじいちゃんがいた。
ERから研修医の動脈ライン確保を手伝ってあげて、CTも見て本院外科の助言ももらい、便処置をがんばった。
その後NAD0.2γと外液2Lで頑張っていたが、おなかを触ると痛がってる。。押しても離してもめっちゃ痛がってる。。
・・・やばくね(・・;)
来院時よりLactateは下がってるけど破れてないか心配(下部消化管穿孔に伴う急性反発性腹膜炎の疑い)
本院指導医からは、開腹したらとイヤな指示・・・
ひとまず担当の研修医ちゃんに、CT followするよう促し穿孔はなかった。
セーフ!
ただ結腸周囲に壁内気腫増悪ぎみ
本院外科医と電話であれこれ相談し、NAD taperingと外液負荷をアドバイス
その後おしっこでてきて一安心
研修医と外科医の通訳という新しい役割も追加された
外科医の外科応援は外科外来と緊急手術、たまに予定手術、外傷処置ぐらいだが、外科NPの応援は外科に留まらず、形成外科外来手術応援、院内創傷ケア回診、ER応援、瘻孔管理(気切チューブ、胃瘻、膀胱瘻交換)、訪問診療、一連の研修医指導と幅広い。。
今回は、形成外科外来後の予定手術4件、褥瘡の腐骨除去や皮膚腫瘤切除をお手伝い。終了22:30...「おらんかったら0時回ってたわ。ありがとう」と形成外科応援医から感謝の言葉。やさし!
他、研修医から抗菌薬や栄養管理の相談、医局勉強会、看護師からのデブリ依頼などをこなした。
急性期病棟、外来、療養病棟、訪問看護、行けば行くだけ仕事がある
常勤時代は、応援NPにどこまで仕事があるか不安だった時もあった
でもそんな心配は不要だった
僕が2年間で新規開拓をした離島医療のニーズ
不在になった今、NPでないとこなせない業務となり良くも悪くも顕在していた
一見NPがいなくても医療はまわってる
でも本当の意味ではまわっていないのかもしれない
外科医みたいにわかりやすい役割があるわけではないが、NPの役割は普段手が届いていない部分にある。手が届かないから皆見て見ぬ振りをしてやり過ごしてる。だからこそそこを埋めれば医療の質があがる。
医師からも看護師からも感謝される存在、
そういう人に
わたしはなりたい。
大阪万博モノレール
大阪上空古墳だらけ
またランクアップ🌟
異動一年目でJGCに入れた!
『藤田の外科NPを調査せよ』第8回NP学会に参加 双孔式人工肛門の造設と人工肛門閉鎖
今年もこの時期がやってきた。。
今年ではや8回。。
節目の第10回には特別な何かを期待笑 思い切って離島でとか^^
資格更新作業を終えたこの年は次回の更新にも何もならない空白の期間で、特にノルマもなく今年は参加だけの気楽モード。12月やったらゴッホ展行きたかった。。
初ひのとり
新幹線より時間はかかるがのんびり
仕事終わりに寝ながら名古屋まで過ごせた




行きのバスで、当時の生意気な新人くんだった僕の面倒を見てもらい、その背中でNPを志したきっかけとなった先輩達と数年ぶりに偶然出会えて嬉しかった。
東京医療の1期生として卒業して帰ってきて間もなく、大阪ど真ん中の高級焼肉店に連れて行ってもらったのは今でも後輩に語り継ぐエピソードの1つで、仕事以外でも憧れるカッコいい人たち☆☆
まさに現地参加の醍醐味
唯一のミッションは、外科部長から命じられた
『藤田の消化器外科NPを調査せよ』
ちゃんと調査してきましたよ!
忘れもしない、NP試験当日。試験会場内で藤田医大の受験生から公開処刑にされた大分県看大も卒後5年で追いついた、そんな気がして少し安心した笑
(学会で話を聞くだけじゃなく、藤田の医療を生でみたい今日この頃)
さすが酒井さんが作り上げた立派な学会で、とても充実。
これはコロナの恩恵とでも言うべき学会オンデマンドも当たり前になった今、オンデマンド対応のブースは後回しにして、現地でしか見れない講演を回るのが新しい学会スタイルになりそう。
酒井さんが会長講演で言っていた一般市民への認知度アップへの課題。。
キムタクほどの聴衆にはならないだろうが、東海関西地方くらいの絶対NPに関心ない女の子やお母さんたちが集まって知ってもらえる^ - ^そしてあわよくば市民の声として応援してもらえる^ ^
サイン書いてもらったり、抽選でプレゼント配ったり?みんなで『NPー。サイコー!』とかガッツポーズして写真撮ったらいいやん? しらんけど笑
丁度ナイチンゲール精神を踏み倒し看護師であることを忘れる教育をしてる施設もあるみたいやし、中井貴一から人を見ろって喝入れてもろたら? 知らんけど笑笑
ちょうどこの時期はまだドラマ撮影中だろうから、来年の学会には是非とも連れてくるべき。
…北海道、、遠い。
snsの発信力は良くも悪くも強力で、いろんな人から声をかけてもらえた。
半分匿名のつもりだったが、8割くらい顔バレしてそうです。
個人的な感想としては、医師があらゆる場面でサポートをしていただいており、教育講演が充実。
学会に行くなら手を動かして日々の診療のスキルアップをというmindから毎回ハンズオンセミナーには参加するようにしていて、今回は精巧な腸管モデルでの人工肛門造設を経験させてもらえた。
外科医がかけた糸を結ぶことはしていたが、糸をかけるところからやらせてもらえるのは術野の展開や術者の右腕代わりとしての役割に役立つ知識となった。
藤田では手術部ナースにも同じようにやらせてチーム作りをしているとか。。規模がすごい!
人工肛門造設・腸管吻合の様子を紹介
筋膜切開し腸管を引き出し、腸管膜対側を切開
4針ごと口側と肛門側それぞれ皮下に固定で終了
巨大ストマ笑


次は糸を抜糸しFEEA2カ所で腸管吻合


腹腔に収めて筋膜縫合、皮下縫合で時間切れだった
時間は30分ちょいと少なかったが、針の掛け直しも多く、実際は出血して止血する時間もある中で熟さないといけない手技、、
学びが多かった。
随所でお褒めの言葉を頂き、ご指導いただいた医師やETHICONの方々ありがとうございました。
こんなNPは多分初めて?!片道1100kmの離島応援勤務の実際② JAL編
こんなNPは多分初めて?!片道1100kmの離島応援勤務の実際① JAL編
はこちら
実際のタイムスケジュールを紹介します。
大阪の当院と鹿児島の離島の施設は同グループで、大阪から外科医を毎週1人ずつ派遣し、外科外来や手術応援、外傷症例のコンサルトなどを行っている。応援メンバーは計10人くらい。外科医は1日1万円、土日10万円の応援手当がある(NPは雀の涙程)
そこで、離島にいた僕と知り合い、面倒を見てくれた恩人たちで、こうして大阪に呼んでくれた訳だが、離島病院は旅立つ僕に対し、いつでも応援を歓迎してくれるとありがたいお言葉を。(離島に居続けられなかったのは、別記事を参照)
僕が応援に行く時はこんな時
- 外科手術の助手
- 全身麻酔
- 褥瘡診察
- 勉強会
- NP実習生指導
- 宣伝
段取りとしては、
①当院外科医から応援依頼・離島から依頼
②離島看護部長から大阪看護部長へ応援依頼
③病院で飛行機予約(経費は離島病院持ち)
③出発
応援頻度は月1回1週間を目標にしていたが、異動したての初年度ということもあり今年はまだ4回くらい。それでも今年9月は2回応援があったので充実していた。
ついこないだその4回目の応援に行ってきたので、そのときのスケジュールを紹介します。
◆◇◆1日目
この日は、大阪での緊急手術が入り予定時間に搭乗できそうもなかったので、空港ホテルに前乗りし翌朝1便で出発することに。(いつもは、午前中には搭乗し、昼過ぎには島入り)
~19時頃 緊急ハルトマンの助手をした後に空港ホテルで1泊
◆◇◆2日目
伊丹空港の始発、7時5分の搭乗に向け出発
ビジネスシートのクラスJにしてくれる秘書さんの優しさ
時間があれば、鹿児島空港の足湯でリラックスするが、乗り継ぎ40分くらいだったので、今回は断念
鹿児島空港-離島空港 (480km)
そして10時 島到着
空港から病院までは、ホテル車送迎で45分
11時頃 病院入り
ヘルニア2例、TAPPとLiechtenstein法の助手予定だったが、島麻酔科医がCOVID-19陽性とのことで、急遽麻酔をするために術前診察
12時 病棟Nsから褥瘡診察依頼あり診察・処置・外用薬変更
13時 大阪外科医監督下でNP学生と全身麻酔
18時頃 手術終了し島スタッフと打ち上げ
ホテルに宿泊
◆◇◆3日目
7時 医局回診
8時 勉強会 昨日の麻酔科術後診察 今日の術前診察
9時 Lap-横行結腸切除とTAPPの術前診察 麻酔準備
9時30分 全身麻酔開始
島最終便に搭乗するために16時病院発予定だったが、予想以上に難渋し15時時点で病変摘出できず、大阪外科部長に電話で予定変更の電話
TAPPはNP学生の縫合演習のために、閉創で術野と麻酔交代
糸結び、真皮縫合指導の後麻酔離脱し、医局に戻ったのは21時
NP学生は、初めての埋没縫合と気管挿管を経験
首が短めで挿管困難症例と言われる島民の気道確保を、難渋しながらもなんとか4例経験してもらった
22時 打ち上げし25時ホテル連泊
◆◇◆4日目
ホテル朝食を摂り、8時頃病院へ
術後の診察をしてNP学生とお別れ
9時30分頃 病院発
10時30分頃 搭乗
11時30分 鹿児島空港着
時間があれば、鹿児島空港ラウンジで焼酎を嗜みながら一眠りするのが好きなんだが、
今回は乗り継ぎ待機してくれている隣のユニバ便へ直行しすぐ離陸
13時 伊丹空港到着
14時頃 病院着 乗り継ぎが最短で過去最短の移動時間に
14時30分 人工肛門造設術 助手
16時頃 手術修了
16時30分 業者勉強会
17時30分 帰宅し遅めの昼ご飯兼夜ご飯 もらった業者弁当
こんな感じです。
今回のフライトでJAL搭乗回数25回、回数は足りなかったがFOP30000点を達成できたのでクリスタル会員に(わーい)
次回は、プライベートジェット機での応援をお見せできたらと思います。
やっぱり我が家が一番
⇒
こんなNPは多分初めて?!片道1100kmの離島応援勤務の実際①
こんなNPは多分初めて?!片道1100kmの離島応援勤務の実際① JAL編
なんとかNP資格更新の準備がギリギリ終わった。
前々からやろうやろうとは思っていたが、夏休みの宿題のように後回しにしてしまう悪い癖がまだご健在。。
そんな僕だが、実は昔から、
『日本で初めてのことを成し遂げる』という野望がある笑
小さいことでも何でもイイ。とにかく日本第一人者になりたかった。
看護師で日本で初めては分母が大きすぎるので、NPというフィールドに進んだ。
日本で初めてのNPにはなれなかったが、その人から直接たくさんのことを学び、やっぱりすげぇなぁと尊敬するレジェンドだ。
僕のspecialityてなんなんやろなぁと5年間模索し続けて見えてきたこと。
各診療科に特化した知識やスキルではなく、離島と都会、急性期と在宅、これらの『フィールドの広さ』が他にはない武器なのかなぁと。。
Primary care NPでもCritical care NPでもない、General NPになろうと。。
なのでプレゼンの時にはこれからGNPと名乗ることにしました(笑)。
目標も込めて。
離島でどんなことしてるの?
どんなシステム?
旅費は?
等々、関心を持たれている方から質問を頂くことが多いので、今回はあまり紹介してこなかったので、具体的な内容をタイムスケジュールを軸に公開したいと思います。
こんなNPは多分初めて?!片道1100kmの離島応援勤務の実際② JAL編 へ
外科NPの働き方例
いつもブログを閲覧していただきありがとうございます。
応援メールもありがとうございます。
◆業務レポート◆ 2022年4月~6月
- 予定手術応援:51例(消化器外科・肝臓外科・呼吸器外科)
- 緊急手術応援:7例
- ER応需:30例
- PICC挿入:20例
- 創傷処置:33例
- 病棟主治医(NP):8例 等々
★処置は研修医や特定行為Nsへ指導
ざっくり集計してみただけだが、離島とは比較にならないほどの症例数と手技依頼数!
離島1年が都会での1ヶ月に匹敵する 下手したら2週間
今まではなんだったんだと思う程
現在、消化器外科、肝臓外科、呼吸器外科を跨ぐように業務を行っている
3科医師は総勢20名程度
10年目以降が多く皆医長やら部長で、外科医なりたてが少ない環境は必然とNPを必要とする環境といえる
例えるなら【初期研修医と外科上級医の間的なポジション】
※NP絶賛募集中(マウントとらない人)
それぞれの手薄な部分に入り、タイムリーな医療を提供できるように周囲のバランスを見ながらその日の業務を決めている
病棟代行業務を行いながら、ICや主治医しかできない業務があれば、
手洗いし手術応援として主治医と交代する・・・
入職当初は術式や基本手術手技の習得のために予定手術に入っていたが、現在は基本的に予定手術には入らず、毎日1~2例ある緊急手術要因として病棟やICUにいる患者をみて回っている
病棟にいると、看護師からたくさん声をかけてもらえるようになってきた
リーダーNsからは、
この薬飲ませていいの? 食上げされてないけど 点滴まだ続く?・・・
担当Nsからは、
この心電図って? 血圧低めなんですけど おしっこがでてなくて
処置いつこれそう? 皮膚がただれてて薬出して ・・・
普段こういうことを手術中の医師に電話しては、オペ室Nsに軽く遇われたり、主治医にキレられたり、、、そのくせチーム制ではなく主治医制なので、他医師の介入はよっぽどな時。夜勤になるともっと困るからまだかまだかと折り返し電話を待ち、タスクが消化できず机には付箋の山、余裕の超過勤務。。。
そんな環境はNPが介入し少しずつ改善してきている
病棟Nsは指示確認のために手術室に入ることはなかなかできないので、彼女らの代わりに手術室に立ち寄って、状況報告し、指示を聞き、指示を出され、タスクを消化し感謝される
立ち寄るのは簡単だが、これまたテクニックが必要で、
●端的な状況報告 ●assessment、そして
●出された指示を実行する能力が求められる
手術中に1から10まで指示を細かく出すことは困難であり、ここでの会話はざっくり
それで自分で必要な検査を考え、検体を提出し、各種検査を行い、補液するなり抗菌薬を変えるなりドレンの位置を調整するなりPICCを挿れるなり、、、
このストーリーの中で不安要素は適宜その辺の医師に助言をもらいながら完遂させ、主治医に引き継ぐ こんな感じ
話しかけやすい、相談しやすい医師はいればいるだけ自分が仕事がしやすくなるので、人間関係構築スピードは確実にNPになってから鍛えられたし、なにより上達すべき能力!逆にコレがしょぼいNPは僕の知る限り組織で機能していない
Nurse Practitionerだったら、この事前の指示受けすらもいらず更にスピードアップした質の高い医療を提供できるようになると思うので、早く現行法の改正を求む
主治医からしたら、病棟Nsはピンキリでできる人もいればいけてない人もいる
そういうところも含めて、NPは病棟Nsが言うより状況が理解しやすい、病棟Nsに言うより理解してくれる、言ったことをやってくれる(やれることが幅広いことも有利な点)し、
病棟Nsからしても、キレられるストレスから解放され、処置や退院調整、翌日の処方等々病棟業務が着々と進み、患者を待たせることが減り、超過勤務も減る、まさにwin-win_!!
営業職のように足繁く医師の元へ通い、病棟へ帰り信頼を獲得してきた
足で稼げることは多いので、足で稼ごう
また、研修医も少なく当直に毎日入れる状況ではないので、研修医がいない日のER当直を行い、救急お断り件数の改善に貢献できるように当直ER対応しながら勉強している
都会は医者も多いけど、明けや大学応援、離島応援で常に誰かいない問題がある
隙間は必ずどこかにあるので、そこを埋めることができれば、医療の質、患者満足度は必ず向上すると思っている
3科診療科の医師たちは、普段から談笑し適宜応援し合い、一見和気あいあいとしているように見えるが、僕から見るとやはり気を遣い合っていてホンネではなかなか語り合えていない印象
・・・医師の世界に入ってみて、医師と医師って結構確執がある
なので、自分の右腕になるようなNPってみんな欲しがってくれる
1人の医師と一緒にいることが多いと嫉妬されるほど笑
今はまだオリジナリティを確立できていないが、診療科を跨いで幅広く対応できることをNPのオリジナリティとして磨いていき、そのうちNPしかできない確固たる領域・職域を見つけていけたらと思う
異動してたった3ヶ月しか経っていないが、以前の離島へ早速応援に行かせてもらった時に、スキルアップした実感があった
(だってこっちの2ヶ月は離島の2年。精神と時の部屋から出てきた感じ)
当時の研修医達はもういないが、NPが応援に来るとなっただけで今の研修医たちが集まってくれた
まだまだ認知はされておらず訳もわからない存在ではあるが、外科手技やPICCを教えてくれる人的な
(そろそろ本業の内科もやらないと完全に外科人間だと思われてそう。。)
これからも身の回りの人の記憶に残る仕事ができたらと思い、日々研鑽を続けます。
元気が出るactive輸液 『アクチット』
離島医療を離れ最前線の現場に立つと、知らない医療機器、使ったことのない薬剤とたくさん触れ合う機会があり、日々初めましての繰り返しで調べないといけないことが山積していく。。
これもまた人生。
今回は、輸液編
その名も『アクチット』聞いたことも使ったこともなかった。
見返せば、皆が持ってる【大塚製薬の輸液・栄養製品組成早見表】には書いてあった。
以前紹介した、『レジデントのための これだけ輸液』
には登場してなかったので、アドバンス輸液といったポジションということにしておく。
このアクチット。。
指導医から糖尿病症例の維持液に使えということで巡り会えた。
はじめまして。アクチットさん。
まだ使用経験が浅いので、DIから教えてもらう。
以下アクチット、DIより引用
見ての通り、組成は3号液
ソルデム3Aさんと同じクラス
普段からソルデム3Aさんを愛用していて、3号液クラスには競合となる生徒はいなかったのだが、今回アクチットさんが転校してきた。感じ。
アクチットさんの特徴
ずばり『マルトース入り』
マルトースの特徴・・・
インスリンに依存することなく細胞膜を通過し、組織内で2分子のブドウ糖となり利用される!
ということは、インスリン分泌が不足している、もしくはインスリン抵抗性の糖尿病症例において、ブドウ糖の吸収が阻害されることなく、高血糖となることが少なく、投与できるということ。
禁忌としては、
- 高カリウム血症,乏尿,アジソン病,重症熱傷,高窒素血症の患者
→血清カリウム値が上昇しそうな症例
- 高リン血症,低カルシウム血症,副甲状腺機能低下症の患者
→血清リン値が上昇しそうな症例
→血清マグネシウム値が上昇しそうな症例
には投与しないとのこと
投与速度は、通常成人ではマルトース水和物として1時間あたり0.5g/kg体重以下(年齢・症状に応じて適宜増減)
その他の注意として、血糖測定に影響を与える可能性があるとのこと
グルコース脱水素酵素(GDH)法を用いた血糖測定法ではマルトースが測定結果に影響を与え,実際の血糖値よりも高値を示す場合があることが報告されている。インスリン投与が必要な患者においては,インスリンの過量投与につながり低血糖を来すおそれがあるので,本剤を投与されている患者の血糖値の測定には,マルトースの影響を受ける旨の記載がある血糖測定用試薬及び測定器は使用しないこと。
このGDH法の測定器、一覧を見る限り結構あるので、アクチットさんを採用している施設は自施設の血糖測定器を一度確認した方がいいです。
実際アクチットさんを使用した症例は、文字通り元気になって食べれるようになって良かった。
維持液の幅が広がりました。
投与後患者に活力が生じることを願い、「元気のよい」ことを意味する active から Actit と命名。