離島と都会を行き来する診療看護師のブログ

primary care NPとして離島での道を開拓する

2020-01-01から1年間の記事一覧

特定行為講座 【感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与】抗菌薬の使い方の基本 セフェム系とペニシリン系

NPなら在宅でもERでもICUでも感染症の知識は必須 各施設、指導医毎に様々な使い方があるだろうが、当院の師匠の型を紹介。 ※点滴抗菌薬使用開始前は必ず血液培養始め培養提出を忘れずに! ○Cephem系 第一世代 CEZ:セファゾリン 特徴:MSSAに100%感受性 MSSA…

特定行為講座 【糖質輸液又は電解質輸液の投与の調整】【脱水症状に対する輸液による補正】張度

細胞膜には水が通れる小さな孔があいている。 通常、他の物質は自由に通ることができない。 細胞膜の孔は半透膜の孔よりわずかに大きく、水以外に尿素が通ることができる。 細胞膜を介して水を移動させる力を、張度(有効浸透圧)と言う。 輸液を考える時に…

特定行為講座 【糖質輸液又は電解質輸液の投与の調整】【脱水症状に対する輸液による補正】浸透圧

浸透圧の考え方 浸透圧は物質の濃度に比例する。 濃度の単位は、mmol/Lを使う。 体内には陽イオン、陰イオン、電離しない物質が存在するので、 計算式 浸透圧=陽イオンの濃度の合計+陰イオンの濃度の合計+電離しない物質の濃度の合計 となる。 そして、全…

特定行為講座 【糖質輸液又は電解質輸液の投与の調整】【脱水症状に対する輸液による補正】血管内脱水と細胞内脱水

脱水の鑑別として、どこの水が足りてないかを考え、どこに水を補充するかを考えることが重要 低Na血症の鑑別にも重要だが、これが難しい。 まずは、血管内脱水 いわゆる細胞外液量減少 所見としては、 頻脈 Capillary refill timeの延長 ツルゴールの低下 口…

特定行為講座 【糖質輸液又は電解質輸液の投与の調整】【脱水症状に対する輸液による補正】mEq/L 電解質の単位について

モル mol 懐かしい響き。説明できる看護師は少ないのではないだろうか? 粒子の数を表すmol 1mol=6.0x10の23乗個 そして、molに電荷をかけたものがEq(equivalent) Naは電荷1なので、1mol=1Eq Caは電荷2なので、1mol=2Eq 臨床ではmをつけたmEq(メック)を使う…

炭酸脱水素酵素阻害薬の機序

電解質がわかれば体の中がわかる。 ということで、利尿薬関連でおさらい。 今回久しぶりに使用した、炭酸脱水素酵素阻害薬の機序から復習。 重炭酸イオン[HCO3-]は糸球体で濾過され、そのほぼ全てが近位尿細管で再吸収される。 尿細管腔のHCO3-はそのまま…

インスリン単位量の考え方

スケール指示など人それぞれ単位数の決定方法はあると思うが、指導医に教わった簡便な考え方を紹介。 基本 インスリン初期量を 0.2~0.5単位/kg/日 と設定 60kgの人には、12単位~30単位/kg/日 となる。 低血糖リスクが高い人には、少なめから開始し、リスク…

離島の台風事情

台風が来るたび、 「災害級の被害」 「次のは本当にやばい」 「命を守る行動を」 実際に最接近した際は、ボンネットが飛んでいく、雨戸を閉じても隙間風で窓ガラスが割れる、海水面が上昇し浸水する、病院の看板が折れるなど被害は甚大だが、大抵は少しそれ…

特定行為と倫理観

特定行為に限ったことではないが、医療行為を実施するにあたり倫理観を考える時が多々ある。 ・自殺による心肺停止蘇生後の家族介護の重さ ・アルコールが止められないアル中患者の繰り返す重症急性膵炎 ・施設に帰る度に増悪する褥瘡 などなど挙げていくと…

意外と忘れがち、だけど重要な問診...

Primary careにおいて、アメリカNPも重要な役割の一つ、ワクチン接種 65歳以上の高齢者は、肺炎に罹患する確率が増加する。 そこで重要になるのが、肺炎球菌ワクチンである。 本邦において肺炎球菌に対して、現在2種類接種することができる。 ●23価肺炎球菌…

NP・研修医 おすすめ本③ 輸液管理

輸液管理、電解質管理って慣れるまでややこしい そんな人にはレジデントのためのシリーズがわかりやすいですよー 最近発売された レジデントのためのこれだけ輸液 佐藤弘明 肺のレントゲンの見方やCTについては、 やさしイイ胸部画像教室 長尾大志 がわかり…

NP・研修医 おすすめ本② 内科全般

たくさんの医師と仕事をしていくと、それぞれの医師のやり方があるのでよくわからなくなることがある。 そのため、まずは通常治療、ガイドラインや診断基準を押さえておきたい。 ホスピタリストのための内科診療フローチャート 専門的対応が求められる疾患の…

NPおすすめアプリ

primary careを提供するNPとして、初療、病棟、在宅どこを拠点とするにしても、commonな疾患を広く浅くは網羅しておきたいところ。 病棟Nsからも研修医からも相談したり相談されたりしながら信頼関係を獲得していく中で、必ず求められる知識は薬物療法 薬と…

心不全の分類 HFpEFとHFrEFとHFmrEF

高齢者と関わる医療者なら避けては通れない心不全 でも循環器領域を苦手とする看護師も多いのでは、、、 今回は、心不全の分類とその治療に関する基礎知識について 心不全と聞いて連想するEFという2文字 EFとは、正式名称LVEF:left ventricular ejection fra…

褥瘡万能薬!? アクトシン+ユーパスタ配合剤

以前形成外科医が使用していた、ブクラデシンナトリウム軟膏(アクトシン軟膏)+白糖・ポピドンヨード配合剤(ユーパスタ)の混合軟膏について簡単にまとめる。 まずは、アクトシン 肉芽形成促進や上皮化促進を目的 そして、ユーパスタ 商品名が他にもイソ…

20-40-60-100の法則

カリウムの話し ★20mEq/H★ カリウムを補充する輸液の最大速度(許容される最も速い値) ★40mEq/L★ カリウムを補充する輸液の最大濃度(許容される最も濃い値) 40 mEq/L ★60mEq/day★ カリウムの一日あたりの尿中排泄量 ★120mEq/day★ カリウムの一日あたりの…

〇〇先生に電話繋がらない!!

〇〇先生に電話繋がらない! 〇〇先生に電話したら切られた! 〇〇先生に電話すると機嫌が悪くなる! 病棟看護師の言い分 〇〇さんの様子がおかしいのに気付いてたのに電話しづらい、電話しても来てくれない、見もしないで検査と薬出すのどうなん? 医師側の…

APTTの調整法

ヘパリンの使用方法について Ann Intern Med 1993: 119: 847-81より ①まず、ヘパリンを80単位/kg ワンショット静注 ②その後ヘパリン18単位/kg/hrで持続点滴投与を開始 ③6時間後に血液検査でAPTTをcheckし、その結果により以下参照 APPTT<35sec 80単位/kg/hr…

鑑別疾患の練習 見逃してはいけない疾患を知ることから手っ取り早く始めよう

離島でのNP

ようやく”離島”というキーワードでNPの実際を紹介します。 まず、NPの大先輩に言われていた格言。。。 「NPは看護業務を手伝ったらだめ。」 当初、そう言われた時には、ピンとこなかったが、アレコレ苦労してNPのパイオニアとして試行錯誤の結果生み出された…

NPといえば特定行為からの脱却 NPに求められるスキル

NPに求められるスキル それは、 症候学と診断学 看護師の視点がある、看護師の気持ちがわかる人が医局にいるからといって、医者や看護師から一目を置かれることはない。 やはり、研修医と同程度の症候学や診断学の知識がないと、現場で戦えない。 看護師の頃…

#嘔気 食思不振 の鑑別 続き

入院後、 頭部MRI.MRA 心エコー 施行。 そしてなんと、、、 病院食ほぼ完食!! WHAT?笑 食べたくないとはいえど、食べれるやん。 頭部、甲状腺、心臓、消化管、異常なし。。 問題は息子の食事? どうやら家庭環境に問題がありそう。 やはり介護申請し…

咽頭痛 の思考回路

まずは、咽頭痛 RED FLAG SIGN 突然発症・急性発症 開口障害 つばを飲み込めないほどの嚥下障害 sniffing position. tripod position(三脚位) くぐもった声、嗄声 流涎 つばを吐き出している strider 舌根部圧痛 頸部後屈で悪化 口腔底の腫脹 咽頭正常 こ…

#嘔気 食思不振 の鑑別

症例 90代女性 主訴 食思不振 現病歴 2週間前から食思不振あり、1週間前から食事摂取困難、内服も不可。嘔気持続し来院。便秘傾向、最終排便不明。不眠。 既往歴 骨粗鬆症 認知症 食道裂孔ヘルニア 背景 息子2人と3人暮らし。調理は息子。筆談レベルの難聴。…

ラクナ アテローム血栓性 心原性

脳梗塞の分類について 僕もそうだったが、この3つ。 理解しているようで、理解できていない。 なので、《回診でサラッと答えれるように》まとめました。 【ラクナ梗塞】 小さい血管(穿通枝)が梗塞 【アテローム血栓性脳梗塞】 太い血管が動脈硬化で閉塞・…

# 膿胸 続き

夜間、主治医が家族に再度連絡してくださり、胸腔穿刺の同意取得。 2人の指導医に見守られながら、手厚いフォローとアドバイス。 “なんてありがたい“ “ここに来る前は夢のような話“ “特定行為すら大してできなかったのに“ エコーで確認。5cmはある。 局麻…

# 膿胸

#1 膿胸 ★疑うポイント★ 肺炎患者がなかなか解熱しない際に、胸部画像で胸水の存在から疑う。 ■原因菌■ 肺炎球菌 口腔内嫌気性菌 ストレプトコッカス・アンギノーサス 黄色ブドウ球菌(術後やインフルエンザ後) 抗酸菌 エコーを用いて穿刺できるスペース(…

心不全増悪因子 FAILURE

診断のテクニックとして、鑑別疾患の中からそれらしい疾患に絞れて来れた際には、その疾患らしさを追い込むラストスパートをかける。 例えば、心不全らしいと絞れた場合、 増悪因子 を意識した問診を行い、原因検索に当たる。 心不全の増悪因子(FAILU…

ラクテート 単位に注目!

ラクテートは、乳酸の解離で生じる陰イオンで、グルコースの細胞内代謝産物。 正常時は、肝臓で代謝されるため、 成人の正常値は、 0.56~1.39 mmol/L ざっくり1~2mmol/L いや、1~2 mmol/L 数字をざっくりさせた分、この単位 mmol/L まで覚えなければ…

簡単に γ計算 ガンマ計算

0.06✖体重(kg) 流量= 濃度 ✖ γ 集中治療領域にいる看護師は、良く耳にするだろうガンマ計算。 麻酔科医が電卓で、鼻唄歌いながら簡単に計算して指示。 でもガンマ計算について調べると、見慣れない単位から長々計算している式を見て挫折。要は患者の前で短…