予定手術の患者は、胃内容物をなくし麻酔中の嘔吐、誤嚥を防止するために、術前は絶飲食となる。
フルストマック(ful stomach)患者とは、
『緊急手術で絶飲食時間が不十分である患者』のこと
イレウスなどの通過障害のある患者や妊婦などもこれに該当する。
緊急手術患者においては、最終飲食から時間が経過していても、発生時点(事故発生時等)から腸管の動きが低下することが有り、フルストマック患者として扱う必要がある。
フルストマック患者を疑った場合は、麻酔導入前に胃超音波を用いて胃内の液体や固体を確認することもある。
CQ:フルストマックの麻酔導入はどのようにすれば良いか?
麻酔科医はよく『クラッシュ挿管』『クラッシュ麻酔』という
※日本でのみ使用されているらしい
正確には、輪状軟骨圧迫を併用した迅速導入
RSI:rapid sequence induction
である。
- 十分な酸素投与を行う(自発呼吸下で6L/minで約3min)
- チオペンタール3~5mg/kg投与orプロポ1~2mg/kgを用いる
- 直後にロクロニウムを1.0~1.2mg/kg投与
- 静脈麻酔薬投与直後から輪状軟骨部を約4.5kgの圧で圧迫
- 筋弛緩薬投与後90secで挿管可能
- 気管挿管確認後、輪状軟骨圧迫を解除
覚醒下挿管という方法もあるが、咽頭刺激が強く患者にとって少し辛い可能性
マックグラスやエアウェイスコープを用いると苦痛も少なく楽に可能
酸素6L/minというのは、診療報酬上の上限で6L/minらしい