離島と都会を行き来する診療看護師のブログ

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硬膜外麻酔について

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★ポイント★

硬膜外麻酔とは、硬膜外腔に局所麻酔薬を投与することで鎮痛を得るもの

頭部、顔面以外の全てに適応

テストドーズが重要

 

硬膜外腔は脊柱管の全周にわたって硬膜の外側に存在する。中枢側は大後頭孔から、尾側は仙骨裂孔を覆っている仙尾靱帯まである。外側は黄色靱帯。

硬膜外麻酔は穿刺部位により頸部、胸部、腰部、仙骨硬膜外麻酔に分類

 

適応

頭部、顔面以外のあらゆる手術

局所麻酔薬の作用時間に依存せずに長時間の鎮痛が可能となる

脊髄くも膜下麻酔との併用も行われる。

主に術中~術後の疼痛管理に用いる

 

絶対的禁忌

協力が得られない場合

穿刺部位の皮膚に感染がある場合

頭蓋内圧が亢進している場合

 

相対的禁忌

感染症、敗血症がある場合 硬膜外穿刺により髄膜炎を起こす可能性

出血や脱水で循環血液量が減少している場合

出血傾向のある場合、あるいは抗凝固薬、抗血小板薬が投与されている場合

穿刺時だけでなくカテーテル抜去時にも注意が必要

血小板数は8万以上が目標で、5~8万は要検討

5万以下では行わない

PT-INR1.5以下、活性化部分トロンボプラスチン時間は正常範囲内が穿刺可能目安

例;

バイアスピリン:制限無し

クロピドグレル:7日以上休薬

ワルファリン:4~5日休薬しPT-INR正常範囲

ヘパリン:4日以上投与されていれば血小板数確認

 

体位

側臥位、または座位で、できるだけまるまる

 

穿刺法

Tuohy針が用いられることが多い(16-18G)

※先端が曲がっており硬膜穿刺の確率を低くする

 

穿刺部位

皮膚近くの神経支配と臓器の臓器支配を考慮

術後鎮痛が主であれば創部の皮膚近くの神経支配を重視して決定

 

硬膜外腔の確認法

抵抗消失法

Tuohy針を穿刺後注射器に圧を掛けながら針をゆっくり進めると針先が硬膜が胃腔に入ったところで注射器の抵抗がなくなることで確認

 

懸滴法

穿刺針に生食または局所麻酔薬の水滴をつけて進めると針先が硬膜外腔に入ったところで水滴が中へ吸い込まれる

 

触感法

針先が黄色靱帯を抜けて硬膜外腔に入ったことを、貫通感として手に感じることで確認

 

解剖学

皮膚→棘上靱帯→棘間靱帯→

黄色靱帯→硬膜外腔 GOAL

硬膜外腔→硬膜→くも膜→

くも膜下腔→軟膜→脊髄

 

テストドーズ

血管内やくも膜下腔に迷入していないことを確認するため行う

20万倍希釈のアドレナリン入り1.5~2%のリドカインorメピバカイン

血管内迷入だと局所麻酔薬中毒の危険 2分以内HR20bpm以上上昇

脊髄くも膜下迷入だと広範囲ブロック 速やかに感覚及び運動麻痺が出現

 

局所麻酔薬の選択

リドカインとメピバカインは効果の発現が早く持続は中等度ある

力価と効果持続時間はほぼ同様

 

ロピバカイン、ブピバカイン、レボブピバカインは長時間作用性の局所麻酔薬

ロピバカイン(アナペイン)は運動神経ブロックの程度がブピバカインより弱く、運動機能を残したまま感覚神経をブロックできる可能性がある(分離麻酔)

術後鎮痛や無痛分娩に使用

 

合併症

ショックや脱水で循環血液量が減少している患者では重篤な低血圧になる

輸液負荷と昇圧薬で対処

偶発性硬膜穿刺は1%程度の頻度で起こり、術後硬膜穿刺後頭痛の発生が懸念

くも膜下腔に留置した場合、予定量の局所麻酔薬を投与すると広範囲の麻酔や全脊髄くも膜下麻酔になる可能性がある

硬膜外血腫と膿瘍の頻度は少ないが抜去時にも起こりうる

 

介助のポイント背部処置になるので、1つ1つの操作を説明しながら介助

表情を確認し苦痛のチェック

 

 

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