#1 膿胸
★疑うポイント★
肺炎患者がなかなか解熱しない際に、胸部画像で胸水の存在から疑う。
■原因菌■
- 肺炎球菌
- 口腔内嫌気性菌
- ストレプトコッカス・アンギノーサス
- 黄色ブドウ球菌(術後やインフルエンザ後)
- 抗酸菌
エコーを用いて穿刺できるスペース(1cm以上)あれば、胸腔穿刺を行う。
胸水
⇒グラム染色培養
⇒細胞診
⇒ADA に提出
胸水が膿性 悪臭(=嫌気性菌)
滲出性胸水(Light's criteria(ライトの基準))
グラム染色で菌が見える
pH 7未満(pH<7.20では多隔壁性の胸水貯留, 膿胸Riskが高くなる)
↓
膿胸 ドレナージを要する胸水!
■治療■
抗菌薬とドレナージ
抗菌薬
・院内感染症では、MRSA、緑膿菌を含んだBroad Spectrumを選択
・嫌気性菌の膿胸ならば胸腔内への抗菌薬投与は不要。
・多隔壁性の場合、ドレナージ不良のことも多い。
・呼吸器外科へコンサルトし胸腔鏡下掻爬術へ。
・胸腔内ウロキナーゼ投与による線溶療法は、出血、外科的対応のタイミングが遅れるリスクあり。
☆画像所見☆
Split Pleura Sign (Radiology 2007;243:297-8)
造影CTの所見で、 膿を囲む臓側,、壁側胸膜の肥厚と造影(+)。
Split pleuraは膿胸患者の68%で認められ、胸膜の造影効果増強は86%で認められる。
胸膜の肥厚+造影は滲出性胸水患者の61%で陽性だが、漏出性胸水患者では0%と特異性も高い!
●実際の症例●
60代男性。統合失調症と外傷性SAHで寝たきり意思疎通困難。発熱しNHCAPとしてVCMにて治療。画像上肺炎像改善も炎症マーカーの上昇、38度台の発熱が持続し、血液培養、胸部CT撮影。抗生剤中止後炎症マーカー増悪、発熱遷延し抗生剤再開、前医が異動のため引き継ぐ。
繰り返す不明熱に対し、まずは、fever work up . ←2wぶり
血液培養2set、喀痰培養、尿培養提出。
喀痰、尿培養に関してグラム染色を行い、有意な菌なし。
画像所見にて、半月前のCTを再度見直すと、、、
「ん? 肥厚した臓側胸膜と壁側胸膜 により被包化された胸水。。胸水にしては、液面がflatというよりはもっこり。。ラグビーボール。。。これSplit sign?!?」
Split Pleura Sign (Radiology 2007;243:297-8)
造影CTの所見で、 膿を囲む臓側,、壁側胸膜の肥厚と造影(+)。
Split pleuraは膿胸患者の68%で認められ、
胸膜の造影効果増強は86%で認められる。
胸膜の肥厚+造影は滲出性胸水患者の61%で陽性だが、漏出性胸水患者では0%と特異性も高い!
兎にも角にも穿刺せねば。指導医に報告。キーパーソンに連絡。
胸腔穿刺の同意書を。
・・・電話にでない。
うーん、島ならでは。。?
島外のキーパーソンも少なくない。すぐに連絡を取りたくても、すぐに来て欲しくても、不可能!!
今日はここまで。残念。。
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▼離島NPの独り言▼
自分で異常(今回はCT画像異常)を発見したら、、、
その場で検査オーダー、そして自分で検体採取。ついでに体位変換。
そして、自分でグラム染色。そして、すぐに抗菌薬選択、オーダー
薬剤部に取りに行って、薬剤溶いて、ルートとって、投与。
※赤 看護師以外業務 医師・検査技師
※緑 看護師業務
ここで重要なのは、職種をまたぐと、その間―間でタイムロスが生じる(職種間の連絡のタイムラグ+他職種の通常業務+各々の優先順位の変更 等々)。
ざっくり
●NP1人で流れ作業でした場合の推定時間・・・60分
●NP不在で医師のオーダー~投与まで・・・半日作業
うーーん、 なんてタイムリー\( ˆoˆ )/
あくまで、NPに時間がある日の場合。
医師が暇でも、看護師が暇でも、この流れ作業はしない・できないのでは。。
NPのような隙間産業を担う人が増えれば増えるほど、それぞれの職種、また患者に好影響を与えられるはず。。
肺炎後 ✖ 不明熱 = #膿胸