たくさんの医師と仕事をしていくと、それぞれの医師のやり方があるのでよくわからなくなることがある。
そのため、まずは通常治療、ガイドラインや診断基準を押さえておきたい。
ホスピタリストのための内科診療フローチャート
専門的対応が求められる疾患の診療の流れとエビデンス 第2版
多くの疾患が再診のエビデンスと共に、治療指針までわかりやすく詳細に記載されています。
ルーチンを知り、その医師のアレンジに対応を
primary careを提供するNPとして、初療、病棟、在宅どこを拠点とするにしても、commonな疾患を広く浅くは網羅しておきたいところ。
病棟Nsからも研修医からも相談したり相談されたりしながら信頼関係を獲得していく中で、必ず求められる知識は薬物療法
薬といっても、抗菌薬、降圧薬、補液類、鎮痛剤等様々あり、その度に辞書を持っていくとかさばるし重たい。
スマホやタブレットで読める電子書籍も色々あるが、閲覧だけで検索はできないことが多い。
今回紹介するのは、M2 plus
電子書籍の管理アプリだが、このアプリ内に入れた電子書籍の特徴として、検索ワードを入れると全てのページだけでなく全ての本から検索ワードをピックアップしてくれる、串刺し検索ができる!
これが便利!
調べたい本からそのワードを調べるだけでなく、別の本の同じワードの部分から追加情報が得られたりする。
主に使えるのは、
今日の治療薬とサンフォード感染症治療ガイド
特にサンフォードは、タブレット、スマホ用に表示を調整してくれていて、本で見るよりも見やすい!
指導医にクイズを出されても、すぐに調べれて答えられる簡便さ!
個人的には電子書籍よりも本でパラパラしたいタイプなので、普段は本屋で買うのが好きなんですが、この便利さには敵わない。そして無料。
他にも様々な本がアプリ内で購入できるので、個人的には症候別の鑑別疾患を考えるときなど辞書的な使い方をする本はアプリで購入して、読み進めて理解を深める本は実際に購入するように使い分けている。
NPだけでなく、看護師もお試しあれ
高齢者と関わる医療者なら避けては通れない心不全
でも循環器領域を苦手とする看護師も多いのでは、、、
今回は、心不全の分類とその治療に関する基礎知識について
心不全と聞いて連想するEFという2文字
EFとは、正式名称LVEF:left ventricular ejection fraction 左室収縮率である
これは、心臓がどのくらい収縮しているかを超音波検査で計測したもので、文献にもよるが、
50%未満を収縮能の低下
という。
心不全と聞いたら、心臓が動いていない
→心臓は収縮するイメージなので収縮していない病気
こう認識する新人Nsは多いだろう
しかし、実際は、
の2パターンが存在する
そして、それを示した略語が、
HFpEF・・・へふぺふ
HFrEF・・・へふれふ
HFmrEF・・・みっどれんじ?
である
それぞれ、
HFpEF EF>50%
heart failure with preserved ejection fraction
これは収縮が "preserve" 保たれているが、拡張ができていないために生じた心不全
通称、拡張障害
治療としては、
β遮断薬以外効果的とされる薬物療法はあまり確立されておらず、リスク因子(高血圧とか喫煙とかたくさん)への介入が中心になる
HFrEF EF<40%
heart failure with reduced ejection fraction
これは、収縮ができないないために生じた心不全
治療としては、
心不全ではおなじみの、ACE阻害剤/ARB、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬が推奨
まずは、
全例ACE-I/ARBを使用
→心血管死亡リスク+入院リスクの軽減効果○
(ACE-IとARBの併用は、副作用リスクが上昇するため、基本的には単剤使用)
(ACE-I(レニベース等○○プリル系)を優先使用し、不耐例に対しARB(オルメテック等○○サルタン系)という考え方)
全例β遮断薬を使用
→死亡リスク、心不全増悪リスクを低下
(アーチスト、メインテートの差は特にない)
どれくらい入れればいいか?
→心拍数の低下が死亡リスク軽減効果との相関性有り
目標心拍数
75歳以上・・・68bpm前後
75歳未満・・・60bpm未満 とされる
アルドステロン拮抗薬(高K血症がなければ)
→死亡リスク、入院リスクの改善効果
×(クレアチニンクリアランスCcr<30ml/minの腎不全合併)
×(K値>5mEq/L)
スピロノラクトンとエプレレノンの差はないが、エプレレノン(セララ)は女性化乳房はない
直接的レニン阻害薬はエビデンスはない
■植え込み型除細動器ICD
LVEF<35%症例に対する予防的ICD留置は死亡リスク軽減
HFmrEF 40%<EF<50%
heart failure with midrange ejection fraction
これは、いわゆる境界型
最近の考え方で、まだ効果的な治療戦略は確立されていない。
最近大塚製薬で開発された新薬、ARNI「エンレスト」にも期待
心不全の病態を悪化させる神経体液性因子の一つであるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の過剰な活性化を抑制するとともに、RAAS と代償的に作用する内因性のナトリウム利尿ペプチド系を増強し、神経体液性因子のバランス破綻を是正することを一剤で可能にした、新しいアプローチの薬剤。
「エンレスト」は、左室駆出率が低下した心不全(以下、HFrEF)患者を対象にした海外第Ⅲ相PARADIGM-HF試験において、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬であるエナラプリルと比較し、心血管死および心不全による入院からなる複合エンドポイントのリスクを有意に20%減少させた。エナラプリルを上回る生命予後改善を統計学的な差を持って示した薬剤は、「エンレスト」が初めて。また、海外での試験結果を踏まえ、日本人HFrEF患者を対象に国内第Ⅲ相PARALLEL-HF試験を実施し、主にこれら2試験の結果に基づき製造販売承認を取得した。
以上
以前形成外科医が使用していた、ブクラデシンナトリウム軟膏(アクトシン軟膏)+白糖・ポピドンヨード配合剤(ユーパスタ)の混合軟膏について簡単にまとめる。
まずは、アクトシン
肉芽形成促進や上皮化促進を目的
そして、ユーパスタ
商品名が他にもイソジンシュガー、ネグミンシュガー、ポピドリン、メイスパン等様々あるが、白糖の創傷治癒促進作用とポピドンヨードによる殺菌作用を目的
使用法としては、通常、初期のwound bed preparation (創面環境調整)にはユーパスタを使用し、その後Moist wound healing(浸潤環境下療法)にはアクトシン等を使用することが多い。
しかし、ユーパスタを使用したことがある医療者はわかるだろうが、硬くて意外と塗りにくい。
そして、ユーパスタからアクトシンへと病期の移行に応じて軟膏を変更するタイミングが難しい。
そこで、両者を混合させた混合軟膏の考え方が普及しつつある。
混合することで、得られるメリット
(病期をそこまで意識せず、初期から治癒までこれ1つで可能なケースも)
デメリットとしては、
混合比率は、アクトシン:ユーパスタ = 3:1
参考文献は、こちら
使用期限はコンタミ面で1ヶ月としていた
呼び方は、正式名称は、A-U mix軟膏で、その他アクネグ、mix軟膏、褥瘡Aセットなど施設毎様々
アクトシンがやや高額な薬価なため、老健や療養病棟では難しいかも。。
ただ、現場の看護師が洗浄し創傷評価していく際には、ころころ軟膏を変更するよりはこの混合軟膏ベースに、プロスタグランディン軟膏やbFGFスプレーなど症例に応じてアレンジしていく方が混乱も少なく、理解もしやすいと思う。
適切な軟膏の選択以上に適切な除圧と摩擦軽減のケアが重要で有り、適切な体位変換や体圧分散寝具の導入のタイミングなど、施設や病院毎の介護力や看護力にかかっていることが多い。
なかなか治癒しない褥瘡を見た時には、薬剤や被覆材の選択以外に、これらのことを1から洗い直し、情報収集する必要がある。
使用経験に関する論文はこちら
カリウムの話し
★20mEq/H★
カリウムを補充する輸液の最大速度(許容される最も速い値)
★40mEq/L★
カリウムを補充する輸液の最大濃度(許容される最も濃い値)
40 mEq/L
★60mEq/day★
カリウムの一日あたりの尿中排泄量
★120mEq/day★
カリウムの一日あたりの最大投与量(許容される最も大きい値)
(日本では100mEq/day)
★20★
日本のK製剤の添付文書で輸液速度20 mEq/hまでとなっている
末梢静脈からは10 mEq/hまでと言われることも多く、実際にはいきなり20 mEq/hから始めるのはNG。
中心静脈からは20〜40 mEq/hで投与。
★40★
末梢静脈から投与する場合の血管炎・血管損傷・血管痛の予防。
中心静脈から投与する場合には輸液濃度100 mEq/Lまで許容されます。
★60★
0.05 mEq/kg/hを基準にすると、Bw50kgで0.05×50×24=60 mEq/日となる。
★100★
日本のK製剤の添付文書で100 mEq/日まで。
まとめ
末梢静脈からは40 mEq/L以下に希釈して、速度20 mEq/hまで、一日100 mEqまで投与する
K↓の原因
①摂取不足
②腎臓でK排出促進
③腎外でK排出促進(嘔吐・下痢)
④細胞内シフト があり、細胞内シフトのとき原因の治療に伴って急激に高K血症となることも
K2.0未満なら中心静脈から、
2.0〜2.5なら末梢静脈から、
2.5〜3.5なら経口で補正する
低Mg血症があるとK排泄が促進されてしまうため、Mg欠乏があれば補う
心電図モニター
勉強になりました。
〇〇先生に電話繋がらない!
〇〇先生に電話したら切られた!
〇〇先生に電話すると機嫌が悪くなる!
病棟看護師の言い分
〇〇さんの様子がおかしいのに気付いてたのに電話しづらい、電話しても来てくれない、見もしないで検査と薬出すのどうなん?
医師側の言い分
外来40人もいるのに病棟患者に構ってたら終わらない、あとで見るからちょっと待っとけ、手術中に電話してきても無理やろ
どちらの言い分も一理ある。
どうしようもない。
NPなら、解決します。
病棟に見に行き、何か気になることありますか?
外来終わりの医師に、病棟の〇〇さん熱出てるので一通り検査したら〇〇だと考えました。
〇〇で対応してます。
winwinな関係をお約束します。
ヘパリンの使用方法について
Ann Intern Med 1993: 119: 847-81より
①まず、ヘパリンを80単位/kg ワンショット静注
②その後ヘパリン18単位/kg/hrで持続点滴投与を開始
③6時間後に血液検査でAPTTをcheckし、その結果により以下参照
APPTT<35sec
80単位/kg/hrを静注
その後持続点滴を4単位/kg/hr UP
APTT35-45sec
40単位/kgを静注
その後持続点滴を2単位/kg/hr UP
APTT46-70sec(治療域)
APTT71-90sec
持続点滴を2単位/kg/hr DOWN
APTT>90sec
1時間持続点滴を中止
その後持続点滴を3単位/kg/hr DOWNして再開
④APTTが2回連続で治療域に達するまで6時間毎に③を繰り返す。
⑤APTTが2回連続で治療域にあればAPTTのcheckは24時間毎で可能。
症例
#急性下肢動脈閉塞 Bw:40kg APTT正常
ヘパリン開始
①80単位x40kg=3200単位を静注
ヘパリン5000単位5ccだから、3.2cc bolus
②18単位x40kg=720単位で持続点滴開始
ヘパリン10000単位/50ccだと、200単位/cc
720÷200=3.6cc/h 持続点滴3.6ml/hr
③6時間後APTT 50sec さいこー
④6時間後APTT 120sec あぁぁぁ
1時間持続点滴中止
その後3単位x40kg=120単位/hr 減量して再開
720単位-120単位=600単位
600÷200単位=3.0ml/hr 持続点滴3.0ml/hへ
④APTT 60sec
④APTT 50sec よしっ
⑤以後24時間後に。。
うちのAPTT正常範囲 26~38sec だから
38を基準にして、1.5倍すると、
39~57sec
でもだいたいは、APTT正常値30secとして、
2倍すると、
60sec
これを目安に考えてるDrが多い様子。
血液検査も6時間毎なんて一般病棟じゃ大変
超厳密でなければ1日毎でも良さそう
目指せ、凝固管理マスター