離島と都会を行き来する診療看護師のブログ

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褥瘡万能薬!? アクトシン+ユーパスタ配合剤

以前形成外科医が使用していた、ブクラデシンナトリウム軟膏(アクトシン軟膏)+白糖・ポピドンヨード配合剤(ユーパスタ)の混合軟膏について簡単にまとめる。

 

まずは、アクトシン

肉芽形成促進や上皮化促進を目的

 

そして、ユーパスタ

商品名が他にもイソジンシュガー、ネグミンシュガー、ポピドリン、メイスパン等様々あるが、白糖の創傷治癒促進作用とポピドンヨードによる殺菌作用を目的

 

使用法としては、通常、初期のwound bed preparation (創面環境調整)にはユーパスタを使用し、その後Moist wound healing(浸潤環境下療法)にはアクトシン等を使用することが多い。

しかし、ユーパスタを使用したことがある医療者はわかるだろうが、硬くて意外と塗りにくい。

そして、ユーパスタからアクトシンへと病期の移行に応じて軟膏を変更するタイミングが難しい。

 

そこで、両者を混合させた混合軟膏の考え方が普及しつつある。

 

混合することで、得られるメリット

  • 看護師が使いやすいオールマイティ

(病期をそこまで意識せず、初期から治癒までこれ1つで可能なケースも)

  • 塗りやすい

 

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デメリットとしては、

  • 刺激性があるので塗布による痛みがあることがある
  • 両者基剤がマクロゴールで創面は乾燥傾向→過乾燥も
  • アクトシンの冷所保管により管理が面倒
  • 同時薬剤使用により査定されることも(経験未)

 

混合比率は、アクトシン:ユーパスタ = 3:1

参考文献は、こちら

 

使用期限はコンタミ面で1ヶ月としていた

呼び方は、正式名称は、A-U mix軟膏で、その他アクネグ、mix軟膏、褥瘡Aセットなど施設毎様々

 

アクトシンがやや高額な薬価なため、老健療養病棟では難しいかも。。

 

ただ、現場の看護師が洗浄し創傷評価していく際には、ころころ軟膏を変更するよりはこの混合軟膏ベースに、プロスタグランディン軟膏やbFGFスプレーなど症例に応じてアレンジしていく方が混乱も少なく、理解もしやすいと思う。

 

適切な軟膏の選択以上に適切な除圧と摩擦軽減のケアが重要で有り、適切な体位変換や体圧分散寝具の導入のタイミングなど、施設や病院毎の介護力や看護力にかかっていることが多い。

 

なかなか治癒しない褥瘡を見た時には、薬剤や被覆材の選択以外に、これらのことを1から洗い直し、情報収集する必要がある。

 

使用経験に関する論文はこちら