最後は、ロケルマ 《アストラゼネカ》
ロケルマは、カリウムを下げる薬
「下げる(lower)」と「カリウム血症(kalemia)」
合わせて「ロケルマ」
発表日は2020年5月20日
ロケルマは、国内初となる非ポリマー無機陽イオン交換化合物の高カリウム血症改善剤
これまでの高K血症改善剤・・
ポリスチレンスルホン酸Na(ケイキサレート)も
ポリスチレンスルホン酸Na(カリメート・アーガメイト)は、
陽イオン交換樹脂で消化管内でNaやCaといった陽イオンとKイオンとを交換し、糞便からKを排泄させる(ポリマー製剤)
ロケルマは、ジルコニウムシクロケイ酸Na
非ポリマー無機陽イオン交換化合物で、消化管内でNaやHといった陽イオンと、Kイオンを交換し、糞便中からKを排泄させ、消化管内腔における遊離K濃度を下げることにより、血中K濃度を低下させる
ロケルマの特殊能力・・カリウム選択性!
Kイオンの直径に近い平均約3Å(オングストローム)の均一な微細孔構造を持ち、消化管内でKイオンを選択的に捕捉し、初回投与開始後1時間から血清K値の低下する模様
これまでの樹脂製剤で報告があった『血中2価陽イオンへの影響』だが、選択性が高いことでMgやCaへ影響を与えずKを低下することができるのは素晴らしいし、即効性はうれしい!
適応も、従来の樹脂製剤には、『急性及び慢性腎不全に伴う高K血症』となっていたが、ロケルマは縛り表現のない高K血症となっている点も異なる
希少金属:ジルコニウム(Zr)は原子番号40の元素で、名前の由来となった宝石のジルコン(ZrSiO4)は無色透明のものはダイヤモンド類似石として,古くから装飾用宝石として用いられている
有効性 【HARMONIZE Global 試験】
日本人を含む国際共同第Ⅲ相試験の補正期治療において、本剤10g を1日3回投与したところ、血清カリウム低下作用は投与1時間後から認められ、投与後24時間で対象患者の63.3%、48時間で89.1%が正常血清K値(3.5mmol/L 以上5.0mmol/L 以下)を示した。
※緊急透析やグルコース・インスリン療法等の既存の緊急治療の代替での使用経験はなく、有効性及び安全性は確立されていないため、効能効果に関連する注意には「本剤は効果発現が緩徐であるため、緊急の治療を要する高カリウム血症には使用しないこと。」と設定されている
今のところ、ロケルマだけで対応できる代替療法とまではなっていない様子
用法用量は、
【通常開始量】
1回10g 1日3回を2日間(最大3日)
その後は1回5g 1日1回に減量
血清Kによって適宜増減
増量を行う場合は5gを1週間以上の間隔をあける
最大1日1回15gまで。
【透析患者】
1日1回5gを非透析日に服用
maxは通常量同量
ロケルマの飲み方
1包5g,10gどちらの場合も約45mlの水に懸濁し服用
味・匂いはなし
溶解しないため沈殿する前に服用
沈殿した場合は水を足して飲みきる
水によって膨張しにくい
注意点 医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)
重要なリスク
「低K血症」
本剤投与開始時及び投与量調整時は,1週間後を目安に血清K値を測定する
その後は患者の状態等に応じて
また、レニン・アンジオテンシン系阻害剤,抗アルドステロン剤,利尿薬等、血清K値に影響を及ぼす薬剤の用量に変更が生じた場合、血清K値の変動に注意を要す
「うっ血性心不全」
K +との交換で Na +が放出されることから、Na 貯留に伴う浮腫やうっ血性心不全に注意が必要
ちなみにロケルマ1g 中にナトリウムを80mg(食塩0.2g 相当)含有するため、1日10g ×3回(計30g)を服用した際の食塩換算量は6g となる(結構な量)
塩分制限が必要な患者では特に注意が必要
(食事は無塩食!!??)
高K血症の原因は概ね腎不全、もれなく降圧薬服用しているのは容易に想像できる・・減塩食ならぬ無塩食なんて無理なんやから、ロケルマ開始したら血圧上がりそう
上がったらRAS系は触りにくいしそもそも切り替えてることが多いやろうから、CCBかα・β遮断薬・・
患者さんには、
『手足のだるさ、力が抜ける感じ、筋肉のこわばり、呼吸がしにくい、筋肉痛、夜間頻尿が増す(=低K血症』
『浮腫、動悸、呼吸のしにくさ(=うっ血性心不全』
がないか注意してもらう
飲み忘れ時は通常は服用を飛ばし、次回に正しいタイミングで服用するよう指導
新医薬品は厚生労働省告示に基づき、薬価収載後1年を経過する月の末日までは、投薬は1回14日分を限度とされている
このブログで紹介してきた新薬
ロケルマ・・・2021/6/1解除
ダーブロック/バフセオ・・2021/9/1解除
リベルサス・・・2021/12/1解除
と皆さん晴れて全員解除されてます(わーい)