70代女性 主訴 臍部周辺痛
episode
昨夕から間欠的な臍周囲の痛みがあり、改善しないため来院
vital sign 異常なし 下痢嘔吐無し
臍周囲軽度圧痛 平坦 軟 筋性防御無し
ここまでで、commonな鑑別としては腸炎が疑われるだろう。
しかし、正月シーズンはもう一つ挙げるべき鑑別疾患として、食餌性イレウスを考える
イレウスCTの簡単なスクリーニングとして、cecum(盲腸)を確認後、便塊があるかないかを確認。上行結腸に水様貯留物を認めれば、麻痺性イレウス
便塊がなければ、絞扼機転が無いか確認(ヘルニアなど)
また拡張腸管があれば追いかけていき、口側まで追えれば単純性イレウス(腸間膜の血行障害のないもの)→絶食・補液・イレウス管で経過観察
口側まで追えない場合は複雑性イレウス(腸間膜の血流障害のあるもの)となり緊急手術を考慮する
他Red flag signとして、ガスレス(腸管の50%以上)や造影不良域+(造影CTにて)、周囲脂肪織濃度上昇、壁内気腫などが絞扼性イレウスを疑う所見となる
本症例は、小腸にて腸管拡張を認め、末端には高吸収の構造物を認めた
問診を取り直すと、全義歯でもちを丸呑みしたとのこと
診断:食餌性イレウス
治療方針:絶食・補液 排便を認めたら食事開始
となる。
食餌性イレウスも単純性イレウスとなるが、CTの写り方が変わる
例:
もちー高吸収
しいたけー低吸収
また、食餌性イレウスの危険因子としては、食餌の咀嚼不十分(歯牙欠損、義歯、早食い、丸呑み癖等)、食餌自体の咀嚼・消化困難性、水分による食餌の膨張、腸管の器質的異常(狭窄、胃切除後)、腸管麻痺作用を持つ食物などが挙げられる
とくにもちによる食餌性イレウスは、丸呑み癖や咀嚼不十分な症例が挙げられると言われている
そのため、この時期の問診時期には、お雑煮(しいたけ)やおもちを食べたかどうか、咀嚼不十分因子があるかどうかを確認したい
おもちイレウスは、腸液にて消化されるのを待つが、
柿胃石(柿を食べ過ぎて以内で塊となって残る)はコーラで消化できるらしい