肛門からの消化管出血
総称して『下血』
上部消化管出血は胃液腸液の影響を受けてタール便に
下部消化管出血はそうでないから血便にという基礎知識
上部消化管出血と下部消化管出血の違いは、
『トライツ靱帯』
口側はタール便(黒)でアナル側は血便(赤)となる。
タール便・黒色便の場合は、上部消化管内視鏡検査を
血便の場合は、下部消化管内視鏡検査を考慮する
血便+αの症状の観察で、更に鑑別診断が詰められる
排便時痛がある場合・・
#虚血性腸炎
#細菌性腸炎
#IBD(クローンやUC)
(虚血性腸炎の特徴として、排便後疼痛が軽減する)
排便時痛がない場合・・
#憩室出血
#悪性腫瘍
(憩室の好発部位は、上行結腸とS状結腸)
自験例として、排便時痛のない血便をよく目の当たりにする
それに、排便時痛のない血便は、出血量が多い
一般的にも大量出血を来しうる下部消化管出血で多いのは、#大腸憩室出血と#出血性直腸潰瘍である。
特に直腸潰瘍患者の特徴で多いのは、
『寝たきり高齢者+便秘』
出血性直腸潰瘍のリスクとして、
■仰臥位 ■便秘 ■摘便 ■浣腸
などが挙げられ、
予防として、側臥位や排便管理が重要となる。
そして、腹痛を伴う血便は、出血量としては少ないと言われているため、
出血量が少ないときには、急性腸炎やIBD、虚血性腸炎などを最初に考えることができる。
しかし、SMA血栓症は下血量が少なくても重篤になり得るし、抗血小板薬、抗凝固薬内服中の患者はそうとも限らないため、内服歴や不整脈を確認しなければならない。
なにかと患者が出血してたらひやっとするモノ
「先生!血便です!」
と赤なのか黒なのかも重要だが、
できるナース《できナース》なら、
「先生!排便時痛のない血便です」と
キーワード『排便時痛』を盛り込んだ報告ができるようになる
NPなら、さらに検査を追加して、
「Hbが13→7g/dlまで低下している」
「BUN/Creが上昇している」
「HR110bpm,Bp98/50mmHgで急変リスクが高い」
などと消化管出血らしく、すぐに動いた方が良さそうなキーワードも追加する方が良い
大事なのは、すぐに動いた方が良さそうな情報を知ること
いつも医師に質問される項目があるならそれが重要な情報だし、脳梗塞の"皮質症状"、大動脈解離の"移動性背部痛"など、それぞれの緊急疾患に対しそれぞれの本気モードになるキーワードがある。
それを知るだけで、普段のケアもクリニックでの問診も質が格段に上がる。
緊急性疾患
上部消化管
#食道静脈瘤破裂
#消化性潰瘍
#大血管腸管瘻
下部消化管
#大腸憩室出血
#出血性直腸潰瘍
#SMA血栓症
頻度で言えば、
上部消化管
#食道潰瘍
#Mallory Weiss症候群
#胃癌
#急性胃粘膜病変
下部消化管
#大腸癌
#痔核
#急性腸炎
#炎症性腸疾患
#虚血性腸炎
などなど
欧米では、下血(tarry stool)は本来上部消化管からの出血で、
血便(hematpchezia)は下部消化管からの出血 らしいです
初期対応としては、カメラするように外液でラインキープとPPI静注と輸血準備が重要