離島と都会を行き来する診療看護師のブログ

primary care NPとして離島での道を開拓する

20-40-60-100の法則

カリウムの話し

20mEq/H★

カリウムを補充する輸液の最大速度(許容される最も速い値)

 

40mEq/L★

カリウムを補充する輸液の最大濃度(許容される最も濃い値)

40 mEq/L

 

60mEq/day★

カリウムの一日あたりの尿中排泄量

 

120mEq/day★

カリウムの一日あたりの最大投与量(許容される最も大きい値)

 (日本では100mEq/day)

 

 

★20★

日本のK製剤の添付文書で輸液速度20 mEq/hまでとなっている

末梢静脈からは10 mEq/hまでと言われることも多く、実際にはいきなり20 mEq/hから始めるのはNG。

中心静脈からは20〜40 mEq/hで投与。

 

★40★

末梢静脈から投与する場合の血管炎・血管損傷・血管痛の予防。

中心静脈から投与する場合には輸液濃度100 mEq/Lまで許容されます。

 

★60★

0.05 mEq/kg/hを基準にすると、Bw50kgで0.05×50×24=60 mEq/日となる。

 

★100★

日本のK製剤の添付文書で100 mEq/日まで。

 

まとめ

末梢静脈からは40 mEq/L以下に希釈して、速度20 mEq/hまで、一日100 mEqまで投与する

 

K↓の原因

①摂取不足

②腎臓でK排出促進

③腎外でK排出促進(嘔吐・下痢)

④細胞内シフト があり、細胞内シフトのとき原因の治療に伴って急激に高K血症となることも

 

K2.0未満なら中心静脈から、

2.0〜2.5なら末梢静脈から、

2.5〜3.5なら経口で補正する

 

低Mg血症があるとK排泄が促進されてしまうため、Mg欠乏があれば補う

 

心電図モニター

 

勉強になりました。

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〇〇先生に電話繋がらない!!

〇〇先生に電話繋がらない!

〇〇先生に電話したら切られた!

〇〇先生に電話すると機嫌が悪くなる!

 

病棟看護師の言い分

〇〇さんの様子がおかしいのに気付いてたのに電話しづらい、電話しても来てくれない、見もしないで検査と薬出すのどうなん?

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医師側の言い分

外来40人もいるのに病棟患者に構ってたら終わらない、あとで見るからちょっと待っとけ、手術中に電話してきても無理やろ

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どちらの言い分も一理ある。

どうしようもない。

 

NPなら、解決します。

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病棟に見に行き、何か気になることありますか?

外来終わりの医師に、病棟の〇〇さん熱出てるので一通り検査したら〇〇だと考えました。

〇〇で対応してます。

 

winwinな関係をお約束します。

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APTTの調整法

ヘパリンの使用方法について

Ann Intern Med 1993: 119: 847-81より

 

①まず、ヘパリンを80単位/kg ワンショット静注

②その後ヘパリン18単位/kg/hrで持続点滴投与を開始

③6時間後に血液検査でAPTTをcheckし、その結果により以下参照

APPTT<35sec

 80単位/kg/hrを静注

 その後持続点滴を4単位/kg/hr UP

 

APTT35-45sec

 40単位/kgを静注

 その後持続点滴を2単位/kg/hr UP

 

APTT46-70sec(治療域)

 

APTT71-90sec

 持続点滴を2単位/kg/hr DOWN

 

APTT>90sec

 1時間持続点滴を中止

 その後持続点滴を3単位/kg/hr DOWNして再開

 

④APTTが2回連続で治療域に達するまで6時間毎に③を繰り返す。

⑤APTTが2回連続で治療域にあればAPTTのcheckは24時間毎で可能。

 

 

症例

#急性下肢動脈閉塞 Bw:40kg APTT正常

 

ヘパリン開始

①80単位x40kg=3200単位を静注

  ヘパリン5000単位5ccだから、3.2cc bolus

②18単位x40kg=720単位で持続点滴開始

 ヘパリン10000単位/50ccだと、200単位/cc

 720÷200=3.6cc/h 持続点滴3.6ml/hr

③6時間後APTT 50sec さいこー

④6時間後APTT 120sec あぁぁぁ

 1時間持続点滴中止

 その後3単位x40kg=120単位/hr 減量して再開

 720単位-120単位=600単位

 600÷200単位=3.0ml/hr 持続点滴3.0ml/hへ

④APTT 60sec

④APTT 50sec よしっ

⑤以後24時間後に。。

 

うちのAPTT正常範囲 26~38sec だから

38を基準にして、1.5倍すると、

39~57sec

 

でもだいたいは、APTT正常値30secとして、

2倍すると、

60sec

これを目安に考えてるDrが多い様子。

 

血液検査も6時間毎なんて一般病棟じゃ大変

超厳密でなければ1日毎でも良さそう

 

目指せ、凝固管理マスター

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離島でのNP

ようやく”離島”というキーワードでNPの実際を紹介します。

 

まず、NPの大先輩に言われていた格言。。。

「NPは看護業務を手伝ったらだめ。」

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当初、そう言われた時には、ピンとこなかったが、アレコレ苦労してNPのパイオニアとして試行錯誤の結果生み出された答えなんだろうと思い、心にしまっていた。

先輩の解釈としては、

看護師と働き方を区別しなければ、NPとしての価値がぶれてしまい、埋もれてしまう。

我慢して、手を出したくても、割り切るべきといったニュアンスだった。

 

 

そして年月が経ち、僕もNPとなり、離島に来て思うこと。

 

”医者も少ないけど、看護師も少ない”

 

指導医(副院長)の先生からは、

●患者を数人担当して診療経験を積んで欲しい

●院内の特定行為にある医行為は全て任せる

●応援に来ている医師の業務がスムーズになるように、外来や手術を手伝う

 

といったNP業務と、

 

○外来の看護師が少ないから暇な時は手伝って欲しい

○手術室の看護師が長期休暇に入っちゃったから、手伝って欲しい

 

といった、通常の看護業務の応援依頼。

 

 

常勤医数人に研修医数人、大多数応援医で賄う離島の基幹病院で、看護師業務はNPとして価値がぶれるから手を出さないでいよう。

 

こんな考えでは通用しない。

できれば通常の看護業務はしたくないし、NPとしてどんどんスキルを身につけたい。

制度化されたり人数がいる病院では、通常看護業務はしないだろう。

 

確かに医師業務でもやることはたくさんある。

応援医や研修医の交代時期には、いくら直接患者引き継ぎをしていても、検査や治療が遅れる。

研修医が少ない時期には、常勤医の受け持ち人数は2倍3倍に増え、院長までフルで診療している。

外来(21時まで)、救急当番(24時間)、宿当直、訪問診療、学校検診、ヘリ搬送

病棟では、IABP,PCI,化学療法、出産・・・

 

ただし、看護業務も手が足りず看護部長が外来で仕事をしている。

 

 

離島でのNPの働き方・・・

患者を数人担当し日々カルテを書きながら必要な検査や処方を行い、

その間に依頼があったPICCや気切・胃瘻交換などの特定行為を行い、

自分が出した検査は自分で検査室に連れて行き、連れて帰る。

 

はたまた、

麻酔導入を行い、OP外回り業務をこなしながら、維持、離脱を行う。

応援の外科医が予定通りの飛行機で帰れるように、

 直接介助をし閉創からはNPがバトンタッチし、

  外科医は次の患者の執刀に。

 外来で手がかかる処置はNPに振り、外来の時間短縮に。

 

 

 

多くの医師から、貴重な機会を与えてくれる。

オールマイティすぎるオールマイティが求められる場所なのかもしれない。

 

それがつとまるかつとまらないかはNP個人のキャパシティに依存する所も多いだろうが、それを見事に勤め上げて、NPがいなければまわらない、そう言われたら成功だろう。

 

NPといえば特定行為からの脱却 NPに求められるスキル

NPに求められるスキル

 

それは、

 

症候学と診断学

 

 

看護師の視点がある、看護師の気持ちがわかる人が医局にいるからといって、医者や看護師から一目を置かれることはない。

 

やはり、研修医と同程度の症候学や診断学の知識がないと、現場で戦えない。

 

看護師の頃よりも、たくさんの病気を知らないといけないし、たくさんの症状の原因を考えないといけない。

 

NPが役割を得るのに必要な、

NPを説明するのにまず初めに思いつく、

NPの限界とは、

NPといえば特定行為 からの脱却 

 

 

 

そんなこんなで、

全国のNPは頑張って奮闘しております。

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悲しいかな、ここまでのことを教えてくれない養成大学もあります。

 

#嘔気 食思不振 の鑑別 続き

入院後、

頭部MRI.MRA

心エコー     施行。

 

そしてなんと、、、

病院食ほぼ完食!!

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WHAT?笑

 

 

食べたくないとはいえど、食べれるやん。

頭部、甲状腺、心臓、消化管、異常なし。。

 

 

問題は息子の食事?

どうやら家庭環境に問題がありそう。

やはり介護申請してよかった。

飽きたのなら宅食サービスも挟めるかも。

 

とか思いながら、

身体所見のみでなく、生活背景も重要だと感じた症例。

 

おわり

 

 

#嘔気 食思不振 の鑑別 はこちら

こちら

 

 

 

 

咽頭痛 の思考回路

まずは、咽頭痛 RED FLAG SIGN

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  • 突然発症・急性発症
  • 開口障害 つばを飲み込めないほどの嚥下障害
  • sniffing position. tripod position(三脚位)
  • くぐもった声、嗄声
  • 流涎 つばを吐き出している
  • strider
  • 舌根部圧痛
  • 頸部後屈で悪化
  • 口腔底の腫脹
  • 咽頭正常

これらが関連する緊急疾患 見逃したら死ぬ

5 killer sore throat

扁桃周囲膿瘍

・急性喉頭蓋炎

・咽後膿瘍

・口腔底蜂窩織炎(Ludwig's angina)

・化膿性血栓性内頸静脈炎(Lemierre's syndrome)

 

+αで

アナフィラキシー

・急性心筋梗塞

 

重要ポイント1

★開口障害の有無★

開口障害とは・・・

口が三横指分開くかどうか

 

開口障害あり+口腔内所見あり = 扁桃周囲膿瘍

開口障害あり+  〃  なし = 咽後膿瘍

                 レミエール症候群

開口障害なし+口腔内所見なし = 急性喉頭蓋炎

開口障害なし+頸部所見あり  = Ludwig's angina

 

killer disease除外後

 COMMONな疾患を

ポイント2

★centor criteria★

#急性咽頭炎

#細菌性扁桃腺炎

 

この2つの特徴は、

#急性咽頭炎は40-50%ウイルス性で対症療法

#細菌性扁桃腺炎はほぼ100%A群β用レンサ球菌で抗菌薬要

 

⇒抗菌薬を使うかどうか

 

溶連菌感染症では【centor criteria】

 

4点:抗菌薬投与 血培不要(菌は決まってる)

3~2点:抗原検査

    陰性でも超急性期や手技の問題も ⇒ 翌日再建

0~1点:抗菌薬検査不要

 

★5killer disease除外⇒centor criteria★

 

 

■一昔前■

溶連菌感染⇒リウマチ熱⇒僧帽弁狭窄症

 

高齢の長男 ・・・ 家を継ぐ!

大切に育てられた⇒リウマチ熱によるMsは少ない

 

それ以外次男以降女の子も

大丈夫。そのうち治る⇒リウマチ熱によるMs多い

 

らしい。。