細胞膜には水が通れる小さな孔があいている。
通常、他の物質は自由に通ることができない。
細胞膜の孔は半透膜の孔よりわずかに大きく、水以外に尿素が通ることができる。
細胞膜を介して水を移動させる力を、張度(有効浸透圧)と言う。
輸液を考える時に重要なのは浸透圧ではなく張度を使う。
Na.K.ブドウ糖は張度を形成する物質だが、尿素は張度を形成する物質ではない。
そのため、張度を推定する場合は、血漿浸透圧の推定式から尿素を除いて計算する。
張度の推定値(mOsm/L=2(Na+K)+ブドウ糖/18
単位は、ミリオスモル。
Na 140 K 4mEq/L 血糖90mg/dl
血漿の張度(推定値)=2(140+4)+90/18
=293mOsm/L
血漿張度の正常値
各輸液の張度
・生理食塩液
Na154mEq/L ブドウ糖 0
=308mOsm/L
・ラクテック(乳酸リンゲル液)
Na 130mEq/L K 4mEq/L ブドウ糖 0
=268mOsm/L
・ソルデム1
Na 45mEq/500ml→90mEq/L ブドウ糖13g →2600mg/dl
=324mOsm/L
・ソルデム3A
Na 35mEq/L K 20mEq/L ブドウ糖4300mg/dl
=349mOsm/L
・5%ブドウ糖
ブドウ糖 5%500ml→25g/500ml→50g/L
=278mOsm/L
血漿と同じ張度の溶液を等張液
血漿より高い張度の溶液を高張液
低い張度の溶液を低張液
という。
細胞外液(生食、ラクテック)、1号液、3号液、5%ブドウ糖の張度は全て血漿の張度に近い
→通常、すべて等張液に分類!
高張液さん
3%食塩水(張度約1000mOsml/L)
低張液さん
蒸留水(張度0mOsm/L)
低張液さんを血管内投与するとどうなるか
赤血球の張度は血漿と同じ約290mOsml/L
→どんどん水が赤血球に入り溶血を起こす
水の分布
ここで重要なのは、ブドウ糖は自由水の名の通り、代謝されて無くなる
→水の分布を考える時には、張度ではなくブドウ糖を覗いた計算が必要
2(Na+K)
・生食 308mOsm/L
・ラクテック(乳酸リンゲル) 268mOsm/L
・ソルデム1号 180mOsm/L
・ソルデム3A 110mOsm/L
・5%ブドウ糖 0mOsm/L
血漿中のブドウ糖は常に一定(90mg/dl)に保たれ無くなることはないので、血漿はブドウ糖を含む張度を用いる。
→血漿の張度である293mOsm/L と比較
等張電解質輸液
ソルデム1以下
低張電解質輸液
高張電解質輸液は3%食塩水
血管内脱水と細胞内脱水 はこちら
浸透圧 はこちら