電解質がわかれば体の中がわかる。
ということで、利尿薬関連でおさらい。
今回久しぶりに使用した、炭酸脱水素酵素阻害薬の機序から復習。
重炭酸イオン[HCO3-]は糸球体で濾過され、そのほぼ全てが近位尿細管で再吸収される。
尿細管腔のHCO3-はそのまま再吸収されるのではなく、細胞の中から分泌(Na/H+交換系)されたH+イオンと反応して炭酸[H2CO3]になる。
炭酸は炭酸脱水素酵素 carbonic anhydrase(CA)の働きで速やかに水とCO2ガスに分解される。
この2つが細胞内にIN
細胞内ではこれの反対の作業
水とCO2ガスから炭酸脱水素酵素により炭酸となる
炭酸から【管腔に分泌される】H+イオンと、【血液側の間質へ出て行く】HCO3-が作られる
これらにより、管腔内から血液側間質へ重炭酸イオンが再吸収されたことになる
なんて回りくどいんだろう。
スッと再吸収してくれ、、
ここから薬理学。
近位尿細管の炭酸脱水素酵素を阻害することで、
①水+CO2ガスと炭酸の双方向の変換促進を阻害
②尿細管内細胞内で生成されるH+が減少する
③尿細管のNa/H+交換系において、Naと交換対象のH+が減少するので、交換系が働かなくなる。
④細胞内から尿細管内へのH+排泄の減少と、尿細管内から細胞内へのNa+再吸収減少
⑤Na+再吸収減少▶︎Naは水を引きつける▶︎尿細管に水増加▶︎利尿作用 NaHCO3排泄(Na利尿)
要は、これでHCO3-の再吸収を阻害
細胞内から尿細管内へのH+排泄の減少
▶︎尿細管内でのH+と反応するHCO3-が反応できず、そのままHCO3-の形で排泄
▶︎尿はアルカリ性に、血液は酸性に傾く。
効きすぎると、
HCO3-喪失による代謝性アシドーシスを来たす
しかし、この副作用を利用できる人が、換気不全に陥っている呼吸性アシドーシスさん
CO2が吐き出せないので、わざと重炭酸イオンを排泄しアシドーシスにすることで、CO2を減らそうと呼吸回数が増えるため(呼吸性代償)頻呼吸にはなるがCO2は減らせる。
※適応症❸肺気腫における呼吸性アシドーシス
ただ、NaHCO3排泄も忘れずに。
CO2ばかり気にしていたら、Na排泄によって尿量増加、脱水になっているかも。
気をつけたい。