スケール指示など人それぞれ単位数の決定方法はあると思うが、指導医に教わった簡便な考え方を紹介。
基本 インスリン初期量を 0.2~0.5単位/kg/日 と設定
60kgの人には、12単位~30単位/kg/日 となる。
低血糖リスクが高い人には、少なめから開始し、リスクが低い人には中等量~多めで開始する。
間をとって、まず16単位と設定すると、
その16単位を分割する。
超速効型:朝4単位・昼4単位・夕4単位 そして持効型4単位
といった考え方。
①まず、上記を基準にばらまいといて
②実際の測定値を診ながら、その前のインスリンを調整する。
例えば、上記のインスリンの投与を開始した患者の血糖値が翌日、
朝食前 130mg/dl(超速効型4単位)
昼食前 265mg/dl(超速効型4単位)
夕食前 150mg/dl(超速効型4単位)
眠前 170mg/dl(持効型4単位)
だったとする。
もちろんどこまでHbA1cを下げたいのか患者背景にもよるが、強化インスリン療法ではなく一般的な高齢者の血糖管理とした場合、
昼食前が高いので、朝食前のインスリンを2-4単位増量し朝だけ6単位か8単位にする。
全体的に下げたければ持効型を少しずつ増やす。
インスリン分泌能や追加インスリン量などそれぞれ診る点は多々あるが、簡便な方法としてこんな方法もあるそうです。
なんとなく雑な感じも否めませんが、指導医曰くこれで低血糖など生じたことはなく、むしろスケール指示でインスリン追加追加となっていると、高血糖・低血糖を繰り返し調整する時間が長くなるという感覚だそうです。
やってみると『血糖値の勘』が養われてきます。
これくらいで始めると低血糖になってしまう。
これくらいは絶対必要。
論理的に介入することが必須だが、感覚が必要なところがあるのが医療の面白いところ。
続いて、インスリンからの卒業☆
インスリンの離脱を考えれるようになる時期は、
『1日総インスリン量 20単位以下』
を目安にすると良い
もちろんインスリン分泌能が保たれていればの話し。
Ⅰ型糖尿病やインスリン分泌量が枯渇したⅡ型糖尿病はインスリン完全依存状態なので離脱は無理
完全依存状態かそうでないかを判断するのは、
『Cペプチド(CPR)』で判断できる。
『血中インスリン濃度』は、インスリンを投与してしまっている時には自己インスリン(内因性)に注射インスリン(外因性)が影響してしまい使えない。
プロインスリンが膵臓β細胞で作られ、分泌直前に酵素によって分解されてインスリンとCペプチド(CPR)それぞれ1分子ずつ生成される。
したがって、CPRを測定することによって内因性インスリンのみを推定することができ、インスリン分泌能を推測することができる。
インスリン・CPRは食事により増加し、日内変動があり、24時間尿中CPRを測定するとその日に作られたインスリンの総量がわかる。
糖尿病患者では、
『24時間尿中CPRが20μg/日以下』
または
『空腹時血中CPRが0.6ng/mL以下』
であれば、インスリン依存状態と考えられる
そうでなければ、インスリンからの卒業ができると見込んで、
まず持効型を残し、BG系やDPP-Ⅳ阻害薬を入れてモニタリングを行う。
持効型が切れるかどうかはその人次第。
目標は、ガイドラインに沿ってHbA1cを参考に、許容する随時血糖を設定する
まだ50代だから、厳しめに設定
もう90代だから、ゆるめに設定
もちろん、薬物療法だけでは絶対にうまくいかない。
生活習慣病は、『患者指導』ではなく『患者支援』を行い、食事や運動などの具体的なプランを一緒に考えて実行できるようにサポートしていく医療者が重要です。