離島と都会を行き来する診療看護師のブログ

primary care NPとして離島での道を開拓する

ありがとう

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わざわざ勤務終わり(正確には勤務中?笑)に港まで走ってきてくれ見送ってくれた。

 

町からは島内でもコロナが収束しきってないので、見送り等は最少人数で横断幕は控えるようにアナウンスされている中こんなにも人の数。指笛やら太鼓やらのド派手な闘牛アンセムで見送ってくれている。さすが闘牛の島。

これが最少人数なら、本気の見送りは凄まじいだろう、、、

 

恒例の紙テープ投げもそういうわけで無かったわけだが、スーパーには普通にテープ投げ用紙テープが売られていた。1個100円也。

 

あれだけ島を出たがった子供たちも嫁もしくしくうるうる涙してた。

 

やはり別れは寂しい。

 

別れは新しい始まり

 

家族で助け合い頑張っていこうと一致団結した。

 

ないものねだりで

何もない島にまた来たいと

 

夏休みなんかで島応援の時には連れてこようと思った。

 

夏休みの旅行の時にはトラベルミン盛っても家族3人船酔いで吐きまくり大変だったが、今回は大丈夫でよかった。

 

実家の両親に会ってから、またフェリーを乗り継いで新天地へ。

 

いつもなら鬱陶しくて文句ばっかり言っていた出発の汽笛も、今日だけは心に染み渡った。

 

 

離島研修のまとめ 応援ナースには言えない離島医療問題のホンネ②

→→→

◆問題点②非常勤医の欠点

問題点①はこちら

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いくら優れた非常勤医が応援に定期的にやってくるとはいえ、あくまで非常勤

非常勤医の特徴として・・・空白の期間(応援外の時間)があるということ

毎週○曜日に応援、毎月第2○曜日に応援などなど、、

非常勤医で成り立つ離島病院の現状を見て初めて気づかされたことがある

 

それは、

離島の医療を支えているのは、優れた非常勤医ではなく常勤の看護師であるということ

(もちろんTherapist、薬剤師等他職種も含めて)

応援に来ている間は、とても心強い味方だが、いったん帰ってしまうとその間の病棟管理は他科の常勤医か研修医が対応をするのだが、術後感染やドレーン管理等々問題は山積。

「手術はしてくれるが、その後どうするの?」

これが、離島では大問題。だからこそ、術前から島外搬送する症例も多い。

 

感染すれば、次回応援の数週間後まで抗菌薬ドーン!(LZD他2剤がっつり)

かといって、研修医等に不在の間の指示を出すこともない

勝手に術後創処置をすれば怒られる

輸血をしないといけないこともしばしば

 

応援医の性格などそんなこんなを全て把握し、いよいよのEMERGENCYを判断しているのは、一番近くで患者をみて、症状から心のケアまでしているのは看護師だ。

常勤医では人数も少なく専門外で、到底すべての患者を把握できないし、研修医はあくまで研修中。自分のことで手一杯だし、入院患者が減ったって応援病院の経営のために一肌脱いだろうとも思わない。

そもそも、研修医が主治医をさせられ、1人で判断する状況が間違っていないか。

助言を求めるのは、1個か2個上の後期研修医だが、もちろん専門外のことは精通していない中、どうにかやらざるを得ない。(これでいいの?)

初期研修医の応援終了後の挨拶では、もれなく「1人でやらせてもらってとても勉強になりました^^」だが、ハタから見れば、これまでの研修が身についているか島の患者がお試し実験台となり、なんとなくできそうだから1人でCV突いてみたり、縫ってみたり、抗生剤を処方してみたり、、、うまくいけば良かったし、うまくいかなかったらまだまだだと思って切り替える。

これは、なんかあったらどうしようと考えれない研修医にも非があるだろうが、大してサポートできる状態ではないのに、研修医を受け入れざるを得ない病院に非があるといっても過言ではない。

 

本来(本島)であれば、術後も主治医(執刀医)が管理し、細かく処置や処方をし、最善の医療を受けて最短の入院日数で退院できる状態だろう。

離島の住民は、そもそも、本島から頭のいい器用な人がわざわざ来て手術をしてくれる だけで感謝している。

その後どんなに治療が転んだって、きっと何日後に来る先生がどうにかしてくれると期待し、適切な治療介入の時期が遅れたことを知らずにひたむきに待ち望んでいる。

最悪亡くなってしまっても、大半の家族が「こんなによくしてくれたんだから仕方ない」と思って文句は言わない。

 

でもこれでいいのかと、島外の医療を知る看護師(応援ナース等)は悩み訴えようのない不満を感じている。

 

じゃあ、我々離島を守る看護師はどうすればいいのか?

病院幹部に文句ばっか言って、常勤医を呼んでこいとだけわめけばいいのか?

 

それは違う。。

他にもやることはある。。

それは、

『もっと勉強して知識や技術を向上させる』こと。

 

救急認定看護師や救急医がRRTで急変の兆候を察知するように、病棟ナースがvital signやPhysical assessmentで「なんか変」を言語化し、医師に伝えること。

検査結果を見て、画像検査を比較し、看護ケアに活かすこと。

傷を見て、デブリードマンが必要な状態や軟膏の変更を提案できること。

 

ただ言われたことをやるだけでは、患者を守れない。

離島ならこの言葉の意味がよくわかる。

我々専門職は更新制度がない永久ライセンスとはいえ、日々自己研鑽を積まなければならない使命を与えられているはずだ。

 

離島にはAPNはいない。

だからこそ、この1年半NPが介入し、これらに関してOJT中心に指導介入を行ってきた【コロナ禍でなければ、もっと勉強会をしたかった】。

医師(大半は研修医で1~3ヶ月で交代)との人間関係も取りづらい状況なため、上記のような病態生理、看護ケア、なんか変に関する相談が多く来るようになった。

 

病態把握を活かした看護展開は、まだまだ難しい。

だが、確実に「なんか変」に対して、視点の変え方やassessment方法は成長したと感じている(と思いたい)。

勉強したいと意欲が出てきた看護師もいる。

 

なにかに特化した看護師ならなんでもいい。

現状課題から言えば、フットケア指導士、認定看護師、心電図検定、、

その特化した分野から、周囲に知識を広めてほしい。

そして、風向きが良いように変わってほしい。

 

結局のところ、ごく一部を除き、島外の人間が離島に『永住』しようとなるのは無理。不可能。

だからこそ、離島医療の発展のために、徳洲会グループは都会で医者を集め離島僻地に派遣する制度で成功した。

でもその応援派遣システムもこうして限界・歪みがある。

結局のところ、ずっといる常勤の看護師に委ねなければならない現状なのだ。

だからこそ、だからこそ、離島の看護師は都会の看護師よりも使命感を高めていってほしい。名札に資格バッジはないけども、都会の看護師よりもデキるナースは多いと思う。

もっともっと上を目指して、患者を守ってほしい。

 

そして少しでも、1人でも、APNの存在意義なんかが伝わっていればいいな・・・

 

 

1年半ありがとうございました。

NP教育では、離島僻地、離島僻地と何度も簡単に言いますが、本当の離島を経験しないとわからない課題がここにはあります。

都会で悩んでいるNP、卒後どうしようか迷っているNP学生、成功して満足しているNPも、一度来てください。

必ず新しい発見があり、自分のNPレベルが上がります。

離島を経験した人とそうでない人の価値観は変わると思います。

一度来たらとても去りにくいですが、ぜひ一緒に離島医療の底上げ、そして日本の医療の底上げに貢献できるように切磋琢磨していきましょう。

 

 

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離島研修のまとめ 応援ナースには言えない離島医療問題のホンネ①

離島NPを初めて1年半

ついに離島を去るときが来た。

殺風景すぎて見飽きた海。。。

見下ろすとウミガメやマンタがいる風景。。。

こんな朝日を拝めるのも残り数日。。。

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思い起こせば、最初は3ヶ月のお試し研修。

家族も移住。

お互い手探りで始め、気づけば1年半。。。

このブログを見て興味を持っていただいた働き方改革に携わる国会議員の先生からわざわざ直接連絡を頂き、島へ視察に来て下さり、意見交換等させていただいたこともありました。

応援して下さった皆さん、心から感謝を申し上げます。

今後は、離島で出会ったNP不在の同グループ内の施設で、離島での経験を活かした都会NPとして、バージョンアップをしていきたいと思います。

そして、定期的に離島応援もさせていただく予定なので、離島NPと兼任で頑張ります。

 

最後に離島医療を経験し感じた、率直な感想と意見を独断と偏見で記載します。

離島スタッフへは、この内容を既にシェアしております。

 

◇大きな問題点◆

①島だから・・・

②非常勤医の欠点

 

◆問題点①島だから・・・

これは、離島だけに留まらず僻地の病院、また都会の病院でもあるかもしれません。

ニンゲンって。。。「やらない理由」を考えるのは大得意ですよね。

物理的な理由で『島だから』となるのは、多少仕方ない部分があるかとは思います。

○天候不良で物資が滞るときのために、在庫を多く抱える【実際、めっっちゃ無駄なものが多い資材庫】

○認定看護師になりたいが、育児中で島を長期間離れることができない【ママさんもめっちゃ多い】

 

ただ、精神的にも『島だから』となってはいけないと思っています。

例えば、

○卒後教育が疎か(目の前の業務が中心で、ケアの質の向上のための研究や学会等に参加しない→新しい知識や医療機器を知らない)

○褥瘡発生後、1週間前後病棟スタッフで対応し、改善無ければ発生報告と相談(監督するWOCN等が不在で、褥瘡発生件数を少しでも減らしたい希望と見てくれる医師が不在だから?)

○多少のインシデントはもみ消し

 

 

ただ、そうとはいっても、モデル病棟、モデルナースがいない現状で、これら長年の怠慢ともいえる島ルールを変えることはほぼ不可能。

だからこそ、誰もメスを入れず、現状維持にしてきた結果がここにはあるといえよう。

 

もちろん、都会と比べれば島ナースの平均年齢は高い。(昨年新人入職者:0人)

年齢を重ねルーティン業務をそつなく熟し安定した収入を得て生活をする、これを変えようとする労力よりは、多少しんどいけどこのままの方が楽だから変えようとも思わないし、そういうものだと納得している。超過勤務が減ると収入が減って困るという考えもあるだろう。

○超過勤務削減のための朝の申し送りの見直しや業務線表の見直し等々

(余談だが、年末年始含む祝日休日の病院には本来休みたがるであろうママさんナースがこぞって勤務している!看護師は島一番の安定した収入?これも島風景。)

 

さらに、これに拍車がかかったいわゆるお局ナースは、なにより【通常】からの逸脱・・・いわゆる【改革・業務改善】を嫌う抵抗勢力となる。おわかりの通り、勉強会や看護研究、QI(quality improvement)などの業務改善には基本参加しない。

我々【NP】も同様に、働き方【改革】の一員であり、お局ナースの業務が変わることに対する嫌悪感は、そのまま【NP】に対する嫌悪感になっていることだろう。

我々【新しい職種】は、開拓者としてその辺の抵抗勢力にも屈しない精神と謙虚さを在学中に植え付けられるため、これくらいじゃへこたれない(戦いに敗れ、病み、フェードアウトしたNPも多く存在するが…)。

ただ、普通のかわいいママさんナースはこんなお局ナースに噛みつかれたらひとたまりもない。高校時代の眉無し金髪ヤンキーのように、関わらない方が身のためだという無言の圧力もあり、行動を起こさないし起こせない。

 

そんな状況は、大概の市中病院ではあるあると化しているだろうが、打開するために本来であれば、新人を1から教育し直し、新興勢力として職場風土を変えることが一番自然な流れだろう(これしか知らない)。しかし、新人がいないので新しい風を吹き込む窓がそもそも小さい。

そんな中、いかにスタッフの意識改革を行い、よりよい医療のため、よりより働き方のために、同じベクトルを向いて進んでいくか。

これが大きな課題。

看護部長になって院内大改革をするくらいのインパクトが必要だろうが、多くの職員を一気に失う可能性が高い(これくらいのことをしないともはや変わらない)。

これらの状況に助言をいただける離島医療改革コーディネーターなどの専門の人がいたら、どうか助けてください。

 

続いて、、、

◆問題点②非常勤医の欠点

 

 

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新しい機序(レアメタル)でカリウムを下げるロケルマ

最後は、ロケルマ 《アストラゼネカ

 

ロケルマは、カリウムを下げる薬

「下げる(lower)」と「カリウム血症(kalemia)」

合わせて「ロケルマ」

発表日は2020年5月20日

 

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ロケルマは、国内初となる非ポリマー無機陽イオン交換化合物の高カリウム血症改善剤

 

これまでの高K血症改善剤・・

ポリスチレンスルホン酸Na(ケイキサレート)も

ポリスチレンスルホン酸Na(カリメート・アーガメイト)は、

陽イオン交換樹脂で消化管内でNaやCaといった陽イオンとKイオンとを交換し、糞便からKを排泄させる(ポリマー製剤)

 

ロケルマは、ジルコニウムシクロケイ酸Na

非ポリマー無機陽イオン交換化合物で、消化管内でNaやHといった陽イオンと、Kイオンを交換し、糞便中からKを排泄させ、消化管内腔における遊離K濃度を下げることにより、血中K濃度を低下させる

 

ロケルマの特殊能力・・カリウム選択性!

Kイオンの直径に近い平均約3Å(オングストローム)の均一な微細孔構造を持ち、消化管内でKイオンを選択的に捕捉し、初回投与開始後1時間から血清K値の低下する模様 

作用機序動画

これまでの樹脂製剤で報告があった『血中2価陽イオンへの影響』だが、選択性が高いことでMgやCaへ影響を与えずKを低下することができるのは素晴らしいし、即効性はうれしい!

適応も、従来の樹脂製剤には、『急性及び慢性腎不全に伴う高K血症』となっていたが、ロケルマは縛り表現のない高K血症となっている点も異なる

希少金属ジルコニウム(Zr)は原子番号40の元素で、名前の由来となった宝石のジルコン(ZrSiO4)は無色透明のものはダイヤモンド類似石として,古くから装飾用宝石として用いられている

 

有効性 【HARMONIZE Global 試験】

日本人を含む国際共同第Ⅲ相試験の補正期治療において、本剤10g を1日3回投与したところ、血清カリウム低下作用は投与1時間後から認められ、投与後24時間で対象患者の63.3%、48時間で89.1%が正常血清K値(3.5mmol/L 以上5.0mmol/L 以下)を示した。

※緊急透析やグルコースインスリン療法等の既存の緊急治療の代替での使用経験はなく、有効性及び安全性は確立されていないため、効能効果に関連する注意には「本剤は効果発現が緩徐であるため、緊急の治療を要する高カリウム血症には使用しないこと。」と設定されている

今のところ、ロケルマだけで対応できる代替療法とまではなっていない様子

 

用法用量は、

【通常開始量】

1回10g 1日3回を2日間(最大3日)

その後は1回5g 1日1回に減量

 

血清Kによって適宜増減

増量を行う場合は5gを1週間以上の間隔をあける

最大1日1回15gまで。

【透析患者】

1日1回5gを非透析日に服用

maxは通常量同量

 

ロケルマの飲み方

1包5g,10gどちらの場合も約45mlの水に懸濁し服用

味・匂いはなし

溶解しないため沈殿する前に服用

沈殿した場合は水を足して飲みきる

水によって膨張しにくい

 

注意点 医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)

重要なリスク

「低K血症」

本剤投与開始時及び投与量調整時は,1週間後を目安に血清K値を測定する

その後は患者の状態等に応じて

また、レニン・アンジオテンシン系阻害剤,抗アルドステロン剤,利尿薬等、血清K値に影響を及ぼす薬剤の用量に変更が生じた場合、血清K値の変動に注意を要す

 

「うっ血性心不全

K +との交換で Na +が放出されることから、Na 貯留に伴う浮腫やうっ血性心不全に注意が必要

ちなみにロケルマ1g 中にナトリウムを80mg(食塩0.2g 相当)含有するため、1日10g ×3回(計30g)を服用した際の食塩換算量は6g となる(結構な量)

塩分制限が必要な患者では特に注意が必要

(食事は無塩食!!??)

高K血症の原因は概ね腎不全、もれなく降圧薬服用しているのは容易に想像できる・・減塩食ならぬ無塩食なんて無理なんやから、ロケルマ開始したら血圧上がりそう

上がったらRAS系は触りにくいしそもそも切り替えてることが多いやろうから、CCBかα・β遮断薬・・

 

患者さんには、

『手足のだるさ、力が抜ける感じ、筋肉のこわばり、呼吸がしにくい、筋肉痛、夜間頻尿が増す(=低K血症』

『浮腫、動悸、呼吸のしにくさ(=うっ血性心不全

がないか注意してもらう

飲み忘れ時は通常は服用を飛ばし、次回に正しいタイミングで服用するよう指導

 

 

新医薬品は厚生労働省告示に基づき、薬価収載後1年を経過する月の末日までは、投薬は1回14日分を限度とされている

 

このブログで紹介してきた新薬

ロケルマ・・・2021/6/1解除

ダーブロック/バフセオ・・2021/9/1解除

リベルサス・・・2021/12/1解除

 

と皆さん晴れて全員解除されてます(わーい)

 

 

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肝性脳症にはリフキシマ

次は、リフキシマ 【一般名リファキシミン】 

2016年11月発売 難吸収抗菌薬(海外では30年以上前~)

5年前!笑

 

リフキシマ錠200mgの基本情報(作用・副作用・飲み合わせ・添付文書)【QLifeお薬検索】

 

リフキシマ・・・言いにくい そして忘れやすそう

Rifaximin(一般名)に由来し、Intestinal flora-Modulating Agent(腸内細菌叢を調整する薬剤) ・・・微妙。。

 

そのリフキシマは肝性脳症のみに適応を持った抗生剤

感染症じゃないけど抗生剤◎

 

なにに対して抗生剤を使うのか?

ターゲットは「腸内細菌」

そう。肝性脳症の原因のアンモニア発生源は腸内細菌である

Clostridium 属菌、Bacillus 属菌、Streptococcus 属菌、Bacteroides 属菌、Escherichia coli(E.coli)、Proteus mirabilis(P.mirabilis)等らしいがよくわかっていないそう

 

ちなみに、、

Wikipedia先生によると、

Clostridium difficile(クロストリジウム・ディフィシル)という健常者の腸管内に少数生息している細菌が引き起こす感染症CDIと呼ばれていたが、 2016年、表現型、化学分類学、系統発生学による分類に基づいて、新しい属としてクロストリディオイデス属(Clostridioides spp.)と名称変更になったのはご存じだろうか?笑

 

肝性脳症は肝硬変により、門脈に迂回ルートができてしまうことでアンモニア代謝されず、血中を巡るために高アンモニア血症となる

 

アンモニアを下げるためには、

◆蛋白制限 ◆便通注意 ◆合成 2 糖類投与 ◆アミノ酸製剤投与 ◆カルニチン投与 等々

 

適応外だと、◇腸管内のアンモニア発生阻止

これには、カナマイシン(適応外)が使われていた

この領域に適応された初めての薬がリフキシマ

 

腸管で抗菌作用を示せばいいので、吸収される必要はない

(理想・・・bioavailability 0%)(経口VCMでもbioavailability 4%程度)

 

カナマイシンは吸収されると出現頻度不明ながらも有名な副作用:難聴が出る可能性があるため、吸収率は低いほうが良い・・

リフキシマ、カナマイシン共にほとんど吸収されないとの記載があるが、完全に吸収されないわけではなく、カナマイシンは連用により難聴の報告がある

 

まぁより安全にという意味でも、

リフキシマの適応は肝性脳症による高アンモニア血症のみと限定されていることからも、

リフキシマは肝硬変診療ガイドラインでもエビデンスレベルAとされていることからも、

肝性脳症にはリフキシマがいいのだろう。

 

用法は

1錠200mg を1日3回 2錠ずつ服用

 

副作用は、

偽膜性大腸炎や便秘下痢等

 

 

ただしこのリフキシマを調べていて思った。。。

『これいつまで処方すれば良いの?』

 

1錠204円・・1日6錠

1日約1,200円・・1カ月で約36,000円(保険負担3割の方で約10,000円の負担)

 

肝硬変状態が改善する可能性がある人ならやめどきが来るかもしれないが、Child Cの患者などは、一生飲み続ける?偽膜性腸炎になるまで飲み続ける?ラクツロースのみで行けそうならやめる?

少なくとも年単位・・

 

NEJM(ニューイングランドジャーナルオブメディスン)

 リフキシマは肝性脳症に有効

BMJ(ブリティッシュメディカルジャーナル)

 肝性脳症にはラクツロースで効果なければリフキシマ

 

海外では、下痢型の過敏性腸症候群(日本人も10%~15%)に1回550mgを1日3回2週間で症状が改善した報告(NEJM)あり、数年後には色々な腸の病気に使われているかもしれない

 

ただし、長期投与に関する、明確なデータがない・・

何例かつかってみないとなんともいえない

 

リクシアナ(エドキサバン)との取り違えによる死亡事故もあるようなので注意

2017年10月、製造販売元である第一三共とあすか製薬が注意喚起

 

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便秘薬界に30年ぶりにNEWCOMER

肝不全の症例を経験し、知らない薬を調べたのでまとめておく。。

 

ラグノスNF ○ リフキシマ ○ ロケルマ について

ラ行ばっかり・・

 

まずは、ラグノスNF

ラグノスNF経口ゼリー分包12g|医薬品一覧|医薬品|三和化学研究所

 

 

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約30年間、便秘薬の世界は沈黙を続けていた・・・

その沈黙を破ったアミティーザ®に始め、リンゼス®、グーフィス®、モビコール®配合内用剤、ラグノス®NF経口ゼリーと続々と慢性便秘症の薬が保険適用となった

 

従来の酸化マグネシウム等で効果が得られない人に対する治療の選択肢が増えたことはありがたい

そもそも、4週間以上続く便秘症のことを「慢性便秘症」というらしい

 

このラグノスNF、

ラクツロースのゼリータイプ

 

作用機序

ラクツロースはガラクトースとフルクトース各1分子よりなる人工2糖類で、ヒト消化管粘膜にはラクツロースを分解する酵素がなく、ラクツロースを経口投与すると大部分が吸収されることなくそのまま下部消化管に到達し、ラクツロース未変化体の浸透圧作用により腸管内に水と電解質が保持されることにより、緩下作用を発揮する。

浸透圧下剤の種類でまさしく酸化マグネシウムの代用

浸透圧をあげるのに従来使われていたマグネシウムは、高マグネシウム血症の心配があるから代わりにラクツロースを使おうという考え方?

 

また、下部消化管に達したラクツロース未変化体は、腸内細菌による分解をうけて有機酸(乳酸、酢酸等)を生成し、腸管内あるいは糞便中のpHを低下させる→→乳酸や酪酸などの低分子有機酸は浸透圧を高め、腸内への水の移動・・

 

作用機序をまとめると、

ラクツロース未変化体の消化管下部への到着後の浸透圧性の緩下作用

○その後のラクツロースの分解後の有機酸による腸管蠕動運動の亢進

 

ラクツロースのゼリータイプには、ラグノスとラグノスNFがあり、NFは【New Formula】 =進化版

何が変わったかというと、より純度の高い結晶ラクツロースが使用されており、主成分のラクツロース含有量6.5g/包は維持したまま、内容量が16.5g→12gへ軽減され内服しやすくなった(エパデールからエパデールS(←このSはSmall、Smooth、Seamless capsuleのS)への進化みたいな感じ?)

あとは、開封口が改良され開けやすく飲みやすくなったみたい

 

いつもお世話になっている今日の治療薬2021先生によると、ラグノスには慢性便秘症の適応がないため、便秘に使用したいときは、NFの方になる

いつもは肝硬変の高アンモニア血症に・・と思っていたけど、これからは便秘に・・ともなると、使用頻度は上がりそう

 

ゼリー好きな俺としては、ゼリータイプのクスリはありがたい

甘みがあるらしく食べやすそう

いつもの薬に錠剤が1錠2錠追加されて飲まされるよりも、ゼリータイプだと薬を飲む感覚の変化があって苦痛も軽減しそう

嚥下の悪いパーキンソン患者なんかにも一石二鳥でいいのかも

 

ラグノスNF経口ゼリー分包12g(1包)は、ラクツロースシロップ65%製剤では10mLに相当

慢性便秘症に対する用量は、1回2包/2回 最高6包と

効き過ぎる場合は、半分だけ食べてあとは破棄でも良いみたい

 

相互作用としては、αGIとの消化管副作用増強に注意

ガラクトース血症には禁忌

副作用は、下痢や腹痛

 

ラグノスとはギリシャ語で『快楽』と言う意味らしい。。

IFにも記載の無かった名称の由来が気になるところ・・笑

 

 

おまけ・・・他の新便秘薬シリーズ

アミティーザ®(一般名:ルビプロストン)

2012年に発売となった慢性便秘の内服薬

小腸内のクロライド(ClC-2)チャネル【クロールイオンの通り道】を活性化することで腸内の水分を増やす

妊婦は使用不可

1日1-2回食事の後に内服するカプセル

 

 

リンゼス®(一般名:リナクロチド)

2018年より慢性便秘症適応

腸粘膜にあるグアニル酸シクラーゼC受容体を刺激する

作用機序は

○腸液を分泌促進して便秘を改善する効果

○腹痛や腹部違和感を改善

IBSのガイドラインでも推奨され、おなかの張りを改善するには良く効く

1日1回食前内服する錠剤

 

 

グーフィス®(一般名:エロビキシバット)

2018年に発売の新薬

回腸末端の胆汁酸トランスポーターを阻害して、大腸の水分量を増やす効果と大腸の運動促進効果

1日1回食前内服する錠剤

 

 

モビコール® 配合内用剤(一般名:マクロゴール4000など配合剤)

日本では2018年に慢性便秘症の人に保険適用

マクロゴール4000は水を引きつける効果がありますが、大きな分子なので消化管では吸収されない原理によって便の水分を増やして便秘改善

2歳以上から使用可能

1日1-3回水に溶かして内服

 

どれも重度の下痢に注意してください

 

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島民の命を繋げ!ドクターヘリ キーワード出動!!

離島診療にはかかせないドクターヘリ

 

太陽が出ている間はドクターヘリ・夜間は自衛隊ヘリで、島民の命をつないでいる。

離島の命救う奄美のドクターヘリ、運航1年:朝日新聞デジタル

ドクターヘリ出動基準例

ドクターヘリは,以下のいずれかの項目に該当する場合に出動することとし,「消防庁救急ヘリコプターの出動ガイドライン」に基づき作成した症例等に準拠して判断する。

  1. 生命の危険が切迫しているか,その可能性が疑われ,緊急処置をしなければ, 生命に危険が生じる場合
  2. 生命に危険はないが,緊急処置をしなければ,身体に障害を生じる恐れがあるなど社会復帰に大きな影響がある場合
  3. 現場で緊急診断に医師を必要とする場合
  4. 上記の3項目に該当しない場合であっても,状態が悪く不安定な急性患者であって,高度の医療を必要とするための適切な搬送医療機関が二次医療圏域内に存在せず,車による搬送では危険と考えられるなどの場合で,ドクターヘリにより所定の搬送先病院(救命救急センター及び災害拠点病院等)へ短時間で搬送することが必要と判断される場合

 

ただ、距離が距離なだけに、迅速な要請とフライト、搬送先の決定が必要となる。

これがまた大変。。。

 

救急要請→救急隊現地到着→状態把握→近隣病院受け入れ調整→近隣病院搬送→島外搬送と判断→ドクターヘリ要請→ドクターヘリ到着→ドクターヘリ離陸→高次医療施設搬送・・・

 

だいたいはこんな流れだが、ドクターヘリ要請から到着まで最短でも1時間以上。

フライト時間は20分程度なのに。。

 

そのため、もっと迅速にドクターヘリを運用し、救える命を救うために決められたのが、『キーワード』。

概要としては、キーワードにあたる状態の救急搬送症例は、搬送先の医師がドクターヘリ搬送を決定する前に、救急隊が直接ドクターヘリに搬送を依頼するというもの。

 

段階としては、

覚知内容からドクターヘリを要請した方が良いと消防職員が判断する場合(救急隊出動途中を含む)

救急要請→救急隊現地到着

 →同時にドクターヘリ要請!

 

救急隊現着時,ドクターヘリを要請した方が良いと救急救命士あるいは救急隊員が判断する場合

救急要請→救急隊現地到着→状態把握→近隣病院受け入れ調整

 →同時にドクターヘリ要請!

 

キーワードの例・・

●外傷

自動車事故:閉じ込められている 車体が大きく変形している,歩行者がはねとばされた等々 

オートバイ事故:法定速度以上(かなりのスピード)で衝突した バイクと車両の衝突 等々

転落・墜落:2階以上の高さ,又は下がコンクリート等 等々

窒息事故:溺れている 窒息している 生き埋めになっている

各種事故:バス,航空機,船舶,爆発,落雷

傷害事件:撃たれた 刺された 殴られて意識が悪い

ハブ咬傷:ハブに咬まれた ハブに咬まれた疑い

全身熱傷,四肢切断

●心・大血管疾患(呼吸不全を含む) 40歳以上の胸痛または背部痛(胸背部に関する痛み全て)呼吸困難 等々

●脳血管疾患 人が倒れている 人が突然倒れた,突然の激しい頭痛 痙攣している等々

●その他(心呼吸停止等を含む) 呼吸をしていない 呼吸が変だ 様子がおかしい 等々

 

こんな感じ。

 

これらに該当すれば、近隣の医療機関で検査や処置にあたっている間に、高次医療機関からドクターヘリが到着し、救急医やER Nsが応援に駆けつけてくれる。

そして更に、初療対応の結果ドクターヘリ搬送とならなくても、怒られない!(笑)

(オーバートリアージの容認)

 

ドクターヘリの運航には多額の税金がかかると言われているが、その入り口を締めれば締めるほどトリアージの敷居が高くなり、判断が遅れ、救命率が低下しそう。逆に、緩めれば緩めるほど、バンバンドクターヘリが飛び回り、無駄遣いと言われそう。

 

そのバランスも重要だが、人の命には代えられない。。

タダフライトになってもいいと言ってくれるから要請しやすいし、エキスパートな人材が応援してくれることで搬送に至らない症例もあることを忘れてはならない。

 

COVID19の影響はこうしたドクターヘリ運用にも影響を及ぼし、流行期には感染が疑わしい患者は乗せることができなかった。

このような離島の命をまもるためにも、COVID19の流行は早く収束させなければならない。

 

 

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