離島と都会を行き来する診療看護師のブログ

primary care NPとして離島での道を開拓する

感染症診療 耐性菌対策!発熱・CRP・WBCからの脱却!

ヒトは長きにわたり病原微生物と生死をかけた追いかけっこをしている

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レジデントのための感染症診療マニュアル 第4版

菌:GNR(グラム陰性桿菌)

人:→抗菌薬

菌:→ESBL獲得(抗生剤の耐性化)進化

人:→カルバペネム(より強い抗菌薬)

菌:→CRE(カルバペネム耐性腸内細菌科細菌)進化

人:・・・

 

ヒトは2008年移行、新規抗菌薬を作成できていない

この時点で一歩ヒトは菌に遅れをとっている

 

減り続ける新規抗菌薬

このままだと、2050年には耐性菌による死者は年間1000万人も及ぶと試算されている!

 

ただ、耐性菌は可逆的

過剰な抗菌薬を減らすと耐性菌は確実に減少することがわかっている

ヒトが生き残るためにも、抗菌薬の適切な使用を心がけるしかない

 

隣の病院や同じ地域の病院でしている医療で自分の所へ影響が出ることはあまりないが、感染症治療において不適切な抗菌薬使用をしていると自分の病院へも大きな影響が出るように、日本全体、世界全体で協働して抗生剤を使用しなければならない。

 

抗生剤の適正使用において、『いつ使うか』『いつまで使うか』が争点となる。

 

  • 熱があるから
  • CRPWBCが上昇したから
  • 下痢嘔吐があるから

 

これらがあると、抗生剤を使用しようと思う医療者は多いのではないか?

だが、これらだけでは抗生剤の使用動悸とはならない。

 

抗生剤診療の4つの軸

  1. 感染/解剖
  2. 原因微生物(非感染性?)
  3. 感染症治療薬
  4. 感染症の趨勢・治療効果判定

 

これに基づいて考えると整理しやすい

少なくとも感染症治療薬の選択には、『感染/解剖』『原因微生物』が説明ができなければならない

 

多くの感染症は必ずどこかに感染源が局在する

遅くとも数日以内に局在化するため

身体所見(Review of system)や画像所見、培養検査などで探しに行くことが大事

 

一部局在しないタイプでは、不明熱(発熱疾患にもかかわらず熱源が分からない)となるが、上記の手順を踏んで初めて、【熱源がわからないこと】に気づく

数日たっても熱源が分からないことは異常で、探して初めて探せなかったことが分かる

 

局在型か非局在型か認識することが重要★

 

また、CRPWBCにおいて、使用できる場合も稀にあるが

基本的には、CRPWBCの数値の変動が治療に影響を及ぼすことはない

 

どういうことかというと、

■重症度判定に使用できない

(肺炎の重症度Ⅰ~Ⅳ度においてWBC中央値は同じ)

CRP感染症だけが反応するわけではなく、CRPに振り回される

■発熱も重症度には使用できず解熱は免疫応答ができない最重症のサインの可能性

などなど

 

では何を指標にするのか?

最重点は、vital sign

なかでも『呼吸回数

全担当患者の呼吸数を把握している医師、NPは大きな間違いはしないと言われている

それくらい呼吸数は『異常の早期発見』のきっかけになる

 

qSOFAもSIRSもvital signを元に作成されており、vital sign名人になることが重要

 

他全身状態をみるバロメータ

食事摂取量 見た目(目力~人格・意識レベル) 

消化器症状(感染症全体のアラートに使用。特に腸管外から考える)

過換気と呼吸性アルカローシス

皮疹など皮膚の変化

 

感染症診療がしっかりしている病院に就職したければ、呼吸回数を記録している施設を選ぼう

 

感染症診療 青木先生のお言葉です。

 レジデントのための感染症診療マニュアル 第4版

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どっちがどっちか忘れる ASTとALTの違い

超メジャーな血液検査である、【AST】と【ALT】

上昇していたら肝機能が傷害されているなぁと考えることはもはや常識。

ただ、この2つの違いを説明できるだろうか?

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AST と ALT の大きな違い

これをはっきりさせておくと思考の幅が広がる。

 

AST、ALT、合わせて『トランスアミナーゼ(transaminase)』という。

直訳すると、アミノ基転移酵素

アミノ基転移酵素は、人体の重要な構成要素であるアミノ酸を作る働きをしている。

肝細胞障害時に血液検査で上昇する理由は、このトランスアミナーゼが肝細胞に多く存在しているから。

そのため、肝機能検査と呼ばれ、肝臓のイメージが強く根付いている。

 

ただし、厳密に言うと、肝細胞の傷害の有無を推定する検査。

もっというと、肝臓以外にもこれら酵素は存在する。

 

AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ):基準値 11~33 U/L

=GOT。

ASTは肝細胞内の他、筋細胞内や赤血球内にも存在している。

AST上昇を みたら肝疾患のみでなく、心筋梗塞や筋疾患、溶血性疾患を鑑別する。

心筋>肝臓>骨格筋>腎臓の順に多く含まれる

 

 ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ):基準値 6~43 U/L

=GPT。

肝細胞障害に対する特異性はASTよりも高く、肝細胞中ではASTの方がALTよりも多く存在するため、通常はAST>ALTで、ASTとALTが共に正常範囲内となる。

よって、ASTとALT が正常であっても、AST<ALTの場合では、慢性肝炎や脂肪肝の可能性を考える必要がある。

肝臓>>心筋>骨格筋の順に多く含まれている

 

また、ASTとALTの半減期の違いから、急性疾患か慢性疾患かの鑑別も可能で、

AST=約 5~20 時間

ALT=約 40~50 時間 これを利用する

肝炎で来院した際に、

AST優位→急性期 ALT優位→慢性期

と推定できる。

 

☆注意☆

肝由来疾患のうち、アルコール性肝障害は、AST優位となる!

 

 

まとめ

AST、ALT上昇を確認したとき、

AST>ALT 肝以外の疾患の可能性 心不全

        酒飲みチェック

AST<ALT 肝疾患の可能性 肝生検有効かも

 

肝臓を見るには、ALTに重点を☆

 

 

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COPD治療の落とし穴 抗コリン薬の副作用に注意

COPD治療に使用されるkey drugの代表格といえば、LAMA(Long Acting Muscarinic Antagonist(長時間作用型抗コリン薬))

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COPD治療には、重症度分類において、LAMA+LABAやICS+LABA+LAMA等が使用される。

 

重症度分類A群では、症状に応じて、SABA,SAMA、LABA,LAMAの単剤が用いられる。

 

重症度分類B群では、LAMAかLABAの定期吸入

 効果不十分時は併用

 症状が強い場合も最初から併用

 

重症度分類C群では、LAMAを優先的に使用

 (LABAよりもLAMAの方が急性増悪予防効果が良好)

 急性増悪の抑制が不十分な場合は、LABA+LAMA、ICS+LABAの併用

 

重症度分類D群は、ICS+LABAよえいもLAMA+LABAの併用から

 LAMA+LABAで急性増悪の抑制が不十分な場合、ICS+LAMA+LABAへの変更を試す

 

ICS+LAMA+LABAで安定していれば、ICSの減量、中止を考慮

 

これが一般的治療

 

これ見ても分かるように、まずはLAMAの出番が多い。

しかし、LAMAが使用できない場合がある。

 

それは、いわゆる抗コリン作用により他の疾患が増悪する可能性がある患者

 

【抗コリン薬】

副交感神経終末から分泌される伝達物質アセチルコリンが、ムスカリン受容体に結合した後、血漿コリンエステラーゼにより分解される。ムスカリン受容体には3種類のサブタイプがあり、M1受容体(胃や脳)、M2受容体(心臓)、M3受容体(平滑筋や腺)に存在している。抗コリン薬はムスカリン受容体を遮断して作用を示す。

 

そのことで、口渇、便秘、尿閉、せん妄、排尿障害(尿閉)、視力障害(眼圧上昇、散瞳、緑内障等)、麻痺性イレウス(腸閉塞)、心悸亢進(頻脈)等がある。

 

よって、

#閉塞隅角緑内障

#下部尿路閉塞等(前立腺肥大など)

#重症筋無力症

の患者には禁忌となっている。

 

そのため、これらの患者がheavy smokerであった場合には注意が必要。

 

COPD患者さんで、呼吸苦の増悪で来院。

→LAMA未導入の場合、導入を検討したい

 

その際に、

緑内障の問診(視野異常や近親者の家族歴等)

前立腺肥大症の問診(排尿困難、頻尿等)

を少なくとも確認したい。

 

また、これらの問診が問題なくても、開始後に視症状や尿閉などの症状を生じる可能性があり、開始後にも要注意となる。

 

COPD症例にICS(ステロイド)使用した場合の注意点として、肺炎の高率合併問題があるのにも注意!

 

 

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LAMA

NP・研修医 おすすめ本⑪ 処方薬

症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け改訂版

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世の中多くの薬剤が開発され患者に使用されている。

 

下剤1つをとっても複数のジャンルに分かれるし、同じジャンル内でも似たような薬剤がいくつもあり、どれを使うかはそれぞれ薬剤の個性をみて判断するか、上司の癖や自己流で反応の良かった薬剤をmy key drugとして使用することが多いのではないか。

 

この本は、頭痛や不眠,めまいなど、よく出合う症状別に頻用する薬の特徴を比較して解説されている。

患者の年齢や基礎疾患、本人の希望などあらゆる状況を考慮した薬選びのコツがよくわかる。

処方例も充実し日常診療にすぐ活かせる一冊となっている。

症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け改訂版

 

 

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新型コロナウイルスには納豆で十分だった?!?!

最近、長崎大学の研究グループから報告され、

5-アミノレブリン酸とやらが、ある一定の濃度以上でCOVID-19のウイルス増殖を100%阻害したという研究報告をされている。

 

5-アミノレブリン酸は5-ALA(5アラ)と呼ばれ、赤ワインや納豆などの発酵食品に含まれ、またサプリメントで市販されているそう。

 

天然のアミノ酸が効くなら、人類が急いで作ってどんな副反応があるかわからないRNAワクチンを接種するよりもよっぽど安心だ。

 

現時点ではin vitro(試験管内)の話なのでin vivo(体内で)ではどうかは分からないが、是非体内でもCOVID-19を死滅させ、平和な世の中を取り戻したい。

 

一定の濃度がどのくらいかわからないが、予防効果のある食品はわかった。

毎晩赤ワインをいただきながら納豆を食べるしかないですね。

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北 潔 教授

長崎大学 熱帯医学グローバルヘルス研究科

 

 

 

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フェブキソスタット v.s. アロプリノール febuxostat v.s. allopurinol

尿酸治療薬のfebuxostat(フェブリク)とallopurinol(ザイロリック)、どちらも尿酸生成抑制薬であり高尿酸血症のfirst choiceに使用されるメジャーな薬剤だ。

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フェブリクは1日1回、ザイロリックは1日2~3回服用と言うことも有り、フェブリクの方が使い勝手が良いイメージ。

 

しかし平成 29 年 11 月、米国の製造販売後臨床試験(CARES 試験)において、フェブリクはザイロリックと比べ心血管死のリスクが高かったと報告された。

その後、海外ではザイロリックへシフトしているのをご存じだろうか?

 

記事参照

gemmed.ghc-j.com

 

 

だがその後行われた再調査では、差は無かったという報告が有り我が国でも有意差はなかったとの報告を受け、PMDAの追加の安全対策措置は不要と言うことで落ち着いた。

 

厚生労働省

こちら

 

一昔前、ARBでもなんか報告があったような。

 

1つ1つ薬剤のこうした背景にも目を向けると知らない世界が見えておもしろい。

 

 

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生涯現役!あの日野原重明先生もNPの制度化の重要性を訴えていた!!

100歳を超えても現役医師で有り続けた、誰もが知る聖路加国際病院名誉院長の日野原先生。

 

看護業界では、使用していない人はいないであろう、

「系統看護学講座 解剖生理学」の著者でも有る。

 

そんな日野原先生は、生前、聖路加病院にて海外のNPと仕事をされていたことも有り、日本でのNPの必要性を30年以上前から訴えられていた。

 

medical.nikkeibp.co.jp

法律は後からついてくるという考えのもと、海外ではメジャーな麻酔看護師も聖路加病院では既に院内資格として存在し、活躍されている。

 

そんな日野原先生の考えを述べられている動画があったので紹介する。

www.youtube.com

 

 

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褥瘡治療戦略 軟膏の選択編

褥瘡診療において、外用薬の選択は必須

適切な軟膏を使用しないと、治す傷も治らない

 

軟膏の基礎知識

軟膏の構成は、『基剤』と『主薬』

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特に、外用療法においては、基剤の選択が重要となる。

 

前回お伝えした、褥瘡治療戦略、Wound Bed Preparation

中でも重要なのが、滲出液の量である。

 

滲出液を正しくアセスメントし正しくコントロールするためには、適切な外用薬の基剤が必要

 

例えば、滲出液が多い創には、滲出液を吸ってくれる“吸水性基剤”

創部が乾燥している時には、水を与えてくれる“補水性基剤”

丁度良いときには、“保湿性基剤” が用いられる。

 

吸水性基剤には、水溶性基剤:マクロゴール

補水性基剤には、クリーム系

保湿性基剤には、油脂性基剤:プロペト

 

そして、

マクロゴールが使用されている外用薬は『アクトシン』

クリームが使用されている外用薬は『ゲーベン』

プロペトが使用されている外用薬は『アズノール

 

が代表的

 

また、『主薬』は、褥瘡治療において大きく分けて2種

“感染制御作用”と“肉芽増生作用”

 

これらに、基剤3種を掛け合わせて、計6種。

 

この6種があれば最低限戦えると言われている。

それぞれ確認しておくと、傷の処置が楽しくなる。

 

 

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