離島と都会を行き来する診療看護師のブログ

primary care NPとして離島での道を開拓する

離島NPの位置づけの模索②

落とし穴の正体

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それは、

  

【無診察治療等の禁止】

『医師の診察』が行われてからではないと、医師法第20条違反

 

この原則があることから、現在の診療看護師の肩身の狭さが伺え、医師会の反対勢力のカケラがここに存在する。

あくまで、診療看護師は、海外の様に自立するのではなく、医師のメディカルコントロール内で・・・

 

 

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これでも都会なら特に大きな問題は無い。

過去に述べているが、

  • 毎朝回診で医師と一緒に患者の状態を確認できている
  • チームで患者の情報を共有している
  • 電話すれば、誰かしら指示をもらえる医師が電話対応してくれる 等々

 

しかし、離島では、

▲チーム制をとっていない施設が多い(ヒトが少ない)

▲往診や非応援日で不在なため指示を仰げない

 

そのため、法律を遵守した動きをするためには、

現場Nsが異常の発見→診療看護師に相談→患者の確認→指導医・主治医に確認→

→→→指導医・主治医どちらかの診察→診療看護師が介入することの許可・指示→診療看護師による処置→処方(代行)→継続処置指示→指示医師に報告

が必要。

【患者の確認】に相応の時間を要し、

【指導医・主治医に確認】がどの程度時間を要すかはその日次第(最悪翌日以降に)

 

イムリーに動くことができるのが診療看護師の強みなはず。。。

→皮膚トラブルの確認→処置→処方→処置内容指示→医師に報告

ができれば、より早く患者の苦痛が取れるかもしれないし、傷が早く治るかもしれない

 

時間がかかる診療看護師よりも、空いている不慣れな医師に相談して、経験的治療として間違った処置をしていたら、かえって創傷治癒が遷延してしまうかもしれないし苦痛は改善されないかもしれない

 

 

いくら治療プランが頭に完成していても、そこは医師と看護師の違いで、ここまでしてはいけないのが現行法なのである(じれったい)

 

いかに、現行法内で問題なくタイムリーな業務を行うか。。。

提案1:回診やカンファレンスの文化を作り、医師―診療看護師―その他医師で患者情報を共有

提案2:皮膚トラブルに不慣れで不安な医師は、診療看護師へ相談するというルール設計

提案3:院内不在時の連絡先(指示医)を常に確保(指導医不在時の代理医師)

 

 

 

離島医療問題ポイント

 

  • 離島は医師が少なく、それぞれの医師の専門分野も偏りが生じている

  (まんべんなく存在している都会の贅沢さを思い知る)

 

  • 現場の看護師は、各医師の能力を常に意識している

  『この医師に確認しても満足した見解を得られないだろう』

  『    〃     この程度の苦痛は除去できないだろう』

 

  • 診療看護師が医師の診察を待たずして診察や治療を開始してはならない

  ※各種検査は概ね認められている

(手順書を作成していても、病状の範囲は患者1人1人に特定される必要があるため、結局包括的指示ではなく具体的指示となる)

 

  • 診療看護師をよりタイムリーに活用するためには、チームで患者の状態を常に共有し、今後の変化を予測することと、予想外の事象が発生した際は、診療看護師に指示をする医師の確保が重要

 

 

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離島NPの位置づけの模索①

離島は言わずもがな、モノ不足とヒト不足

※これは、どちらも調達困難という意味も含む

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医師が少ないため、医師業務の一部を担える診療看護師の需要がある

 

看護師目線で更に噛み砕くと、

病棟看護師の意見として、病棟管理をする医師が少ない

外来看護師の意見として、外来診察を頼める医師が少ない

救急外来看護師の意見として、救急対応する医師が少ない

 

離島には、今起きている目前の事象を主治医に確認・依頼したいけど不在というジレンマが島外以上に存在する

 

一般的に、何かしらの異常が生じた際に、現場の看護師は、最適な相談先(医師)を見つける。

例えば、、、軽微な症状(待てる・苦痛レベルが軽い)なら、研修医でも大丈夫かな

意識レベルの悪化なら、研修医じゃだめだから上級の先生に

心停止だから、他科の医師でもとにかく近くにいる医師を

このトリアージが病棟でできるのがいわゆるリーダー看護師

 

ただ、都会はシステマチックにチーム医療がなされており、これら看護師からの指示系統が決定している施設も少なくない。

例えば、、、1st call.主治医(○○研修医も可) 2nd,上級医 

そして、診療科を跨ぐ場合は、主科の主治医から他科へコンサルテーションすることが多いだろう

この体制が敷けるのは、(当直明けで不在というのはあるだろうが)基本医師が院内にいるから成り立つ

 

 

しかし、離島となると少し違っていて、今いる人材(医師・看護師)で乗り切るしかないため(専門診療科の9割以上が非常勤の応援体制で基本不在)、すがれるヒトにはすがるしかない。

特に、褥瘡や皮膚疾患となると、皮膚科、形成外科、整形外科の専門領域で、その他診療科医師はあまり携わらないことが多いことから苦手意識を持ち、普段関わる(皮膚排泄ケア認定看護師【WOC】をはじめ)看護師の方が詳しいことがよくある。

 

そこで、先ほどの看護師が誰に相談するか、、、

皮膚科・形成外科医は非応援日でいない。

主治医の常勤内科医や研修医では『きっと十分な治療・ケアができないだろうから』、皮膚トラブルに詳しいヒトに相談しよう。

WOCはいない。

そうだ、診療看護師に相談しよう

という流れになることは不思議ではない。

 

 

しかし、この診療看護師の活用は落とし穴が待っていた!

 

詳しくは、離島NPの位置づけの模索②

 

 

 

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麻酔科術前アセスメント  特定行為講座:麻酔

麻酔科術前アセスメント

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麻酔に関わる診療看護師や特定行為研修の麻酔科パッケージ、麻酔看護師など、看護師が麻酔に関わる機会が増えつつある。

そこで、麻酔に関する基礎知識として、術前アセスメントのテンプレートを一部紹介

 

 

  • 術前診断;△□○
  • 予定術式:△□○

 

■現病歴:△□○

■既往 #△□○

    #△□○

喫煙:○本/日

飲酒:○合/日

■手術・麻酔歴

△□○ ←麻酔に関する問題の有無:有or無

■注意すべき内服薬:抗血小板薬、抗凝固薬、糖尿病薬等

■呼吸器系

・喘息:有or無 ・胸部Xp:np ・スパイロ:np

■循環系

・HT:有or無 ・IHD:有or無 ・ECG:np ・TTE:np

※IHD:Ischemic Heart Disease:虚血性心疾患

※TTE:Transthoracic echocardiography:経胸壁心エコー

 

■中枢神経系

脳卒中既往:有or無 ・麻痺:有or無 ・認知症:有or無

■肝機能異常:有or無

■腎機能異常:有or無

■糖尿病:有or無

CBC・凝固系:

RBC,Hb,PLT,PT-INR等

感染症:有or無

■アレルギー:有or無

・卵 ・大豆 ・ゴム ・アルコール消毒:有or無

■悪性高熱症を疑わせる既往:家族歴:有or無

■挿管困難を予想させる情報:

・歯の状態: 義歯:有or無 動揺歯:有or無

・開口: ○横指

・頸部後屈制限: 頸椎症:有or無

・Mallampati分類:

※マランパチ分類:舌、口蓋扁桃、軟口蓋の状態を調べ、口腔内の相対的な舌の大きさを推測するもの

座位で正面を向き、発生をさせず舌を完全に突出させて評価する

Class0:喉頭蓋まで見える ClassⅠ:軟口蓋、口蓋垂咽頭口蓋弓、口蓋扁桃が見える

ClassⅡ:口蓋扁桃が見えない ClassⅢ:軟口蓋、口蓋垂の基部が見える

ClassⅣ:軟口蓋も見えない

 

■その他

■ASA分類:1~6

※ASA分類:身体評価(PS)による分類が用いられる

 PS1:(手術となる原因以外は)健康な患者 

 PS2:軽度の全身疾患を持つ患者

 PS3:重度の全身疾患をもつ患者 

 PS4:生命を脅かすような超重度の全身疾患をもつ患者

 PS5:手術無しでは生存不可能な瀕死状態の患者 

 PS6:臓器移植のドナーとなる脳死と宣告された患者

 (緊急手術では“E”を付加  例(PS:3E) )

 

  ASA分類と周術期死亡率の関係(おおよその目安)

   PS1=1/10000~100000人

   PS2=1/10000~10000人

   PS3=1/100~1000人

   PS4=1/10~100人

○Plan:全身麻酔(体位)

  

★緊急手術の場合の術前訪問

※TEMPLA(テンプラ)は要確認

T:teeth:歯の状態(差し歯や入れ歯、動揺歯)

E:emergency:緊急手術の理由 手術適応を再確認

M:medication:薬をチェック 抗血小板薬・抗凝固薬・降圧薬等

P:past. present and pregnancy:既往歴と現病歴と妊娠の有無

          特に心臓病・糖尿病・失神・胸痛の有無

L:last meal:最後の食事 何時で何を食べたか

A:allergy and asthma:アレルギーと喘息

 

 

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巻き爪治療のマイスター 略して巻き爪マイスター!!

褥瘡学会の企業展示で目を引いたのは、この『巻き爪マイスター』

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今までは、爪に穴を空けてワイヤーを通して・・・と面倒くさかった巻き爪矯正法

 

巻き爪治療には主に3種類の治療法がある

・テーピング法

痛い指側にテープを貼って食い込まない様にする対症療法

 

・矯正法

丸まった爪をどうにか伸ばして巻き込まない様にする方法

 

・根治術

局所麻酔で爪母細胞を殺すか切除して巻き込む部分の爪を生えてこなくする方法

 

 

島では、皮膚科と形成外科医がそれぞれ週1回応援に入る

矯正法は、ワイヤーの管理(外れた、折れた等)が困難なのもあり、対症療法的に2ヶ月程度毎に外来通院させ、嵌入部分をニッパーで切除する

外来通院が困難だったり、陥入爪を繰り返してしまうような症例には、根治術を施行している。

 

巻き爪マイスターは、見た目はただのバネに見える

コイルばねに内蔵された超弾性合金ワイヤーの弾性力で次第に爪が矯正されていくらしい

 

島で導入したいと感じた理由

  1. 装着が簡単(専用のペアン的な危惧で爪の両サイドに引っかければいい)
  2. 装着例ほぼ全例効果がある(分厚すぎる爪甲肥厚症例は不適応)
  3. 爪が伸びてきたら、バネを奥にずらし再利用が可能
  4. 半年程度同じものを使用できる
  5. 自由診療だけど1個2000円くらい

 

正直、今のところ、まず嵌入している爪をニッパーで切除する

その後、外科手術

がスタンダードな島のフットケア

 

しかし、フットケア界では、深爪は御法度

 

時代に追いついていないなぁと思っていたところにこのマイスター

意外と巻き爪に困る島民は多い

そして糖尿病も多いので、糖尿病足病変患者がなんせ多い!

更にフットケアに精通した医療者がいない

 

ここ3ヶ月で下肢切断案件症例をざっと5人は対応した。

施設に訪問すれば必ず爪甲肥厚や爪白癬、胼胝種高齢者がいるし、発熱の3割くらいは下肢の蜂窩織炎

 

片っ端から爪切りと胼胝腫を処置していき、入院患者と周辺施設の足はだいぶきれいになったが、島といえど広い

外来を開けば数人は症状を訴えて来院してくる

 

重症敗血症に至る前の蜂窩織炎で対応できれば、、

蜂窩織炎に至る前の陥入爪処置や胼胝腫削りで予防できれば、、

陥入爪に至る前の巻き爪の段階で手が打てれば、、

 

巻き爪マイスターで陥入爪に至る足が少なくなり、

蜂窩織炎や足切断の症例が少なくなれば、QOLは更に良くなる。

 

そんな期待が持てる商品だった。

さっそく院長に交渉しよう。

 

 

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診療看護師(NP)の立ち位置の模索

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現在診療看護師NPの働くフィールドとして、

  • 都会の急性期大病院
  • 田舎の急性期病院
  • 慢性期病院
  • クリニック
  • 施設
  • 訪問看護ステーション

といったところであろう。

 

診療看護師(NP)は国の制度には至っていない(詳細は過去のブログを参照)が、制度化(※1)に向けて各々の施設に守ってもらいながら(医療安全的に)それぞれメリットを挙げエビデンスを示している最中である。

そのため、国の政策的にはグレーの部分がまだ多く、看護協会からはいくら施設の独自ルールに守られてるとはいえ、法律的にアウトな業務を制限し法整備に向けた調整の足枷にならないように、現行法に基づいた業務(※2)を徹底するように警鐘を鳴らしている。

 

(※1)海外のNPのポジションを日本で施行する為に制度設計を頑張っているのが、

ナースプラクティショナー(仮称)制度】 ≠診療看護師(NP)

 

(※2)海外のNPのように日本の診療看護師(NP)が、自らの診察や判断で『診断』や『処方』『処置』をしないようにということ

 

 

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しかしそうは言っても、国を動かす為に〇〇をして問題はなかった、〇〇は医師と同等の成績だった、〇〇をすれば他職種にメリットがあったなどといった、グレーゾーンに足を一歩踏み入れてみて、大丈夫、これも大丈夫とまるで石橋を叩いて渡っているようかの状況で進むしかなく、ただただ石橋の前で通行許可が出るのを待機するのは現実的ではない。

先に資格ができ制度化が送れたがための歪み…

 

そのため、それぞれ協賛してくれる院長や看護部長、指導医と独自ルールを作って活動をしている。

 

ある離島では、入院患者の急変や状態悪化の初動を、医師が対応できなければ(訪問診療中で不在、初療対応中、当直明けで不在等々色々な理由で不在ということがある) 診療看護師が対応して、診察、必要検査の判断、検査施行、アセスメント、診断まで行い、そこから医師にこれまでのプロセスと治療プランを提示し許可があれば処方する

もしくは、治療開始後に事後承諾をもらい、医師代行で行ったと言う口実にしている。

 

ある大病院では、専門診療科のチームの中に診療看護師が混ざり、カンファレンスで治療方針を共有し包括的な指示をチームで受け、それをもとに上級医の癖を考慮しながら研修医に仕事を振り分け指導し一部補助的に実践している。

 

現行法では後者の働き方が法律を遵守した綺麗な働き方とすれば、前者はグレーゾーンに足を踏み入れているアウトな働き方となる。

 

日本全体を見ても、critical領域のNPの人数が多く、働くフィールドも専門診療科に溶け込んで働いているNPが多い背景には、こうした制度の影響も大きいのではないか。

在宅など医師から離れたフィールドで活動するには、まだまだ守りきれないという問題が大きくリスクが高い。医師が少ない離島僻地でのNP不足も同様。

 

結局、医師不足の緩和、医師の働き方改革のために動き出した診療看護師制度であるが、現時点では医師の多いエリアでしか安全に活動できていない理由はまさにコレだ。

 

しかし、時代の流れは在宅医療にシフトしており、在宅などでprimary careを実践できるNPの必要性が年々求められている。

時間は刻一刻と進み、そうこうしている内に2025年を迎え、2030年、2040年と高齢化率は変化し医療需要や介護需要は変化していく。

たとえグレーの働き方でも患者に悪影響がなくco-medicalへ与える影響がプラスならば重宝されるし、なくてはならない存在となる。

 

今いるNPが安全に仕事をする為にも、

今後NPを志す人の為にも、

日本の医療を支える為にも、

もっと現場の声を聞き、NPの各学会での報告を真摯に受け止めて早急に進めて頂きたい。

 

 

 

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第18回日本褥瘡学会 九州・沖縄地方会学術集会

2021年4月24日、大分駅前のホルトホール大分で開催された。

 

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これまで日本褥瘡学会には参加してきたが、離島に行ってからは初。

 

内容は昨年度末に改定された日本が誇る褥瘡武器、【DESIGN-R2020】の紹介を中心に、各皮膚科医、形成外科医、WOCN等々から症例報告や活動報告がなされた。

 

 

なんだろう、今まで参加してきた時には感じなかったこのモヤモヤ感。。

正直違和感を感じた。

 

褥瘡や慢性創傷に対する医療《予防、治療等々》は全国共通、離島でもやってることで別に違和感はない。逆に島で常勤医がいない中、自分のアセスメントは間違ってなかった、よくやれてると感心したくらい。

 

そして気づいた、、

 

違和感は、今回のテーマでもある

【連携から協働へ】

離島ではこの水準が内地(離島以外)とはかけ離れていると感じたことだった。

 

今回の学会の特別講演1、小倉第一病院形成外科部長 石井義輝先生が御講演された

 

『2040年を見据えた褥瘡医療』

 

この中で、

高齢化が進み地域医療構想を推進していく中で、褥瘡はもはや生活習慣病と捉え、付き合っていく

というものだった。

そしてそのためには、

病院、在宅、施設等々で連携していく必要がある

とのことだった。

 

また、シンポジウムでは、皮膚科、急性病院WOCN、老健施設管理者、添乗ナースのメンバーで今回のテーマに関してディスカッションされたが、いかに病院-施設間を連携させていくかといったものだった。

 

ところが、今回の話は離島ですぐに参考にできる内容ではなかった。

 

離島の病院-施設連携の現状は、

・胃管挿入していると施設に入らないから、施設に入るためにPEGを作りましょう

・褥瘡が少しでもあると施設で診てくれないから、90歳以上の寝たきりの高齢者も治療目標は【治癒】。そのために、必要ならば、病院入院中に、NPWT、植皮術、皮弁術までして治しましょう

 

もちろん100%ではないが、概ねこんな感じで、施設に入所するためには非常にハードルが高い

 

とても協働には程遠い

病院の持ち株9割、、、

 

今回の学会、

九州・沖縄地方会

九州以南一括りにしているが(地域的にはするしかないが)、離島は離島で抱える問題の色が違う気がした

学会は一括りでもいいと思うが、離島ブース等がないと離島間での情報共有やディスカッションがやりにくい

 

長崎、鹿児島、沖縄など離島の多い九州ブロックだからこそ、離島問題を取り上げていただき、離島の質の向上を目指したい。

 

施設での褥瘡管理はお金の問題もあるだろうが、それはどこでも同じ

 

離島にはWOCNがいない島の方が多く、それも遅れてる理由だろう

 

施設に入るために造るPEGって、、、

どうやったら施設でも褥瘡を見てもらえるか、、帰ってから考えよう

 

 

『日本看護協会主催 第3回NP教育課程修了者の交流会』に参加して個人的感想

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他団体、医師や他医療職になかなか正しく伝わらない我々診療看護師制度だが、看護職にもまだまだ馴染みがない上に、診療看護師自らが何をして何をしてはいけないかよく理解していない。自分たちが分からなければ、他職種は理解できなくて当然だ。

 

そもそも、海外のNurse practitioner創設を目指して動き出した結果、

現在、

・日本NP教育大学院協議会(JONPF)の認定→診療看護師(NP)

・日本看護系大学協議会(JANPU)の認定→JANPU-ナースプラクティショナー

と2団体の制度がある。

(JANPUが既に開始してるJONPFのNP制度では腑に落ちなかったため)

これがややこしい点①

 

それよりも、海外のNurse practitioner創設を目指して動き出したものの、医師会の反対などにより実現できず至った課題。

所属団体名である

『一般社団法人日本NP教育大学院協議会』

『日本NP学会』

そして、日本NP教育大学院協議会が用いる『診療看護師(NP)』

これらに含まれる【NP】という略語は、言わずもがな

Nurse practitioner】に他ならない。

 

だが正確に言うと、現行法では日本には海外のように、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行うことができる公的資格(Nurse practitionerは存在していない。

そのため、診療看護師(NP)は、分類で言うところの『NP教育課程修了者』となる。

ナースプラクティショナーといってしまうと海外のNurse practitionerと誤解されてしまうため、日本NP教育大学院協議会は当初『ナースプラクティショナー(NP)』から言い換え、『診療看護師(NP)』とした。

診療看護師(NP)は、NPだがナースプラクティショナーはないのだ。

 

しかし、看護協会を始め、医師の働き方改革での流れや(外科学会、麻酔科学会、皮膚科学会、精神神経学会、医学放射線学会、救急医学会、脳神経外科学会)の7医学会の医師達が、日本でもNurse practitionerの誕生を要望している。

 

そのため、要望する段階なので、厚生労働省にはナースプラクティショナー(仮称)制度と括弧書きをしなければならない始末。

これがややこしい点②

 

こんなこと、他職種おろか看護師ですら理解できているはずがない。

認定看護師やMEなど現在では当たり前の資格も創設当時はこのような状況だったのだろうか。

 

そして、看護師の特定行為研修制度

診療看護師(NP)制度設計において、どこまでの医行為を実施することを認めるか厚労省で話し合った結果、300等の医行為から38行為に厳選された。そして、その38行為を特定行為といい、それを行うことができる看護師を養成するために開設された研修制度が特定行為研修。それまでに既に認定されている診療看護師(NP)は自動的に全ての特定行為をできるということとなり、その後の診療看護師養成課程には特定行為研修が付加される形となった。

 

そのため、特定行為を行うことができる看護師は、現在

診療看護師(NP)と

特定行為研修を修了した看護師 (通称:特定看護師)

これで、診療看護師と特定看護師という言葉が誕生してしまった。

この2つの大きな違いは、大学院教育を修了しているかどうか

診療看護師は、大学院修士課程で行うため、卒業すれば修士の看護師

特定行為研修は、あくまで研修

 

日本NP学会は、この特定看護師との差別化を毎年強く謳う。

●特定行為研修制度はあくまで限定した特定行為パッケージ(例:在宅で必要な瘻孔管理や脱水補正に関連した5行為とか集中治療で必要な人工呼吸に関連した7行為等)を取得しただけで、診療看護師のような修士課程で学ぶ薬理学、病態生理学、フィジカルアセスメントなどは課していないため、診療看護師の方が優れているといわんばかり。

 

学会に加勢するとすれば、研修期間(最短6ヶ月~)も修士課程の(最短2年間)の方が長いし、診療看護師は特定行為を学ぶために就学するわけではなく、看護師教育よりも更に専門的な医学教育を習得したいがために進学するため、特定行為はあくまでおまけ的な要素が大きい(実際大学院で絶対的医行為がしたいからと言っていた学生は指導対象)。そして、特定行為研修は研修制度として基本的には全員合格できるような施設側の支援などがあるところもあり、同期半数留年や自主退学を求められた修士課程とはほど遠い印象。

 

しかし、特定行為研修も短期間とはいえ、特定行為を行うために関連した臨床推論は必須科目となっているし、そこまで差別化を重要視すると、診療看護師は、特定看護師よりも長時間多くを学んでいて偉い。その辺の特定看護師と一緒にしてもらっては困るといった印象になりかねず、どうかと思う。

 

そして、その結果、医師が正しく理解しておらず、現行法以上の役割を診療看護師(NP)に与えている点。

現行法の大原則

医師法第17条 『医師でなければ、医業をしてはならない。』

医師法第20条 『医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方箋を交付し、自ら出産に~~~してはならない』

 

そもそも、多忙な医師は電話で入院患者の異常を伝えられても、優先度や重症度が低いと判断した際は、診察することなく処方し薬剤投与するといったことは日常茶飯事である。

その手薄な場所を得意とする診療看護師(NP)は、自らその隙間に入り込み活躍することが多いが、本来であれば医師がすること。それを医師はありがたい(この診療看護師(NP)なら任せられる)と思って、医師が診察することなく診療看護師が診断や処方することは、代行処置であってもしてはいけない範疇となる。

これも、実際のところ、2次救急外来やホスピタリストとして病棟管理を任されている診療看護師(NP)は、全ての相談症例を事前に医師に相談し(医師から診療看護師の対象患者という設定してもらい)、自ら得た臨床推論を医師に伝えてから治療に当たるという、現行法にはまった働き方をしているのだろうか。ある程度医師との信頼関係が構築した診療看護師なら、医師もいちいち診療看護師への許可や記録を残さず対応しているのではないだろうか。

 

色々言いたいこと、思ったことを書いてきたが、結局の所、医師に理解してもらえないと正しい仕事ができないし、患者に理解してもらわないと大衆の理解を得ることはできない。

 

そのためにも、関連職種は手を取り合って協力すべきだし、資格制度も名称もなるべくわかりやすくするべきだろう。

 

我々の資格制度における問題点を理解していただけただろうか。

どうか統一化に向けた成長途中と思って、暖かく見守ってもらいたい。

そして親団体からは、間違いや罰則、上下関係などをアピールするよりも、現場で働く我々をもっと支援していただきたい。

貧血の鑑別 網状赤血球数 千分率?

貧血定義

男性Hb<13g/dl・女性<12g/dl

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高齢者の10-20%で貧血があるらしい

その原因は、

鉄、葉酸ビタミンB12の栄養欠乏によるもの1/3

慢性炎症、腎性貧血が1/3

それ以外が1/3

 

貧血のアセスメントは、

『貧血の頻度からの鑑別』

『網状赤血球、LDH、平均赤血球容積(MCV)から鑑別』

などがある。

 

良くあるのは栄養障害によるもの

若年女性の編血では殆どが月経による鉄欠乏性貧血

栄養障害では上記以外に銅欠乏や亜鉛欠乏でも貧血となる

 

★鑑別のポイント★

●急性経過なら兎にも角にも出血してないか考える

●頻度から、栄養障害(#鉄欠 #ビタミンB12欠乏 #葉酸欠乏)から始める

●MCV<75fL小球性 #鉄欠 #サラセミア #先天性鉄芽球性貧血

●MCV>115fL大球性 #B12欠乏 #葉酸欠乏

LDH上昇・間ビ上昇あれば#溶血 #無効造血

●赤血球産生能亢進がなく、LDH性状、MCV75-115fL 

 #鉄欠 #慢性炎症 #甲状腺疾患 #薬剤性

●これ以外の場合、骨髄異常→骨髄穿刺

●多系統の血球減少→早期から骨髄検査

 

もう1 step 検査項目としては、

●MCV<80fL→Fe、TIBC、フェリチンの測定

●80≦MCV≦100fL→網状赤血球数→Fe、TIBC、フェリチン

●MCV<100fL→ビタミンB12葉酸、エピソード

 

MCV正常の正球性貧血時や赤血球産生能の評価には、【網状赤血球数】を測定する。

網状赤血球とは、

赤芽球が脱核したばかりの赤血球で、24〜48時間の間に通常の成熟赤血球になる。

赤血球の寿命は120日なので、正常な状態(失われる赤血球≒新しく産生される赤血球)では赤血球の約1%程度が網状赤血球になる

 

赤血球に対する百分率(%)あるいは千分率(‰)で表すことが多いが、割合(%や‰)ではなく、絶対数での評価が重要になる

 

網状赤血球絶対数=全赤血球数×網状赤血球割合(% or ‰)

網赤血球の正常値(成人)は、

網赤血球割合:0.5〜1.5%(5〜15‰)/網赤血球絶対数:2.5〜7.5万/μL

 

当院では、網状赤血球数の検査項目は%。と無理矢理パーミルの表示をしている

例:RBC391万/μL Hb10.9g/dL 網状赤血球数15.8‰

  391 x 0.0158 = 6.1万/μL これが網状赤血球数!

 

骨髄が正常に機能していれば、貧血状態では足りない分を補うために、エリスロポエチンが上昇し赤血球の産生量が増加する。つまり、網赤血球絶対数は増加する。

貧血があるのにそれに見合った網赤血球増加がない状態は、骨髄が正常に機能していないことを意味する。

 

‰ パーミル

単位を調べてみると、

パーセント(ppc) 1%

パーミル    10‰

パーミリアド  100‰。

ピーピーエム  10000 ppm (百万分率) million

ピーピービー  10000000 ppb (十億分率) billion

ピーピーティー 10000000000 ppt (一兆分率) trillion

ピーピーキュー 1E+13       (千兆分率) quadrillion

ppmからは一気に0が増えるんだなぁ。。